スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

柔道

数多の朗報を上回る阿部一二三さん・詩さん「兄妹同日金」の偉業に、早くもパリ・ロスでの「兄妹一・二・三連覇」の期待高まるの巻。

08:30
阿部兄妹、一・二・三連覇へ!

東京五輪を盛り上げる4連休が終わり、俄然大会は盛り上がってきました。開会式の国立競技場周辺では中止を求めてやってきたデモ隊も思わず写真撮影に興じていたり、沿道応援の自粛を呼び掛けられていてもロードレースのコースにはたくさんの応援の人が居並んでいました。それはある種のモラル違反ということかもしれませんが、同時に「民意」でもあると思います。楽しもう、楽しみたい、そういう気持ちが世のなかを明るくすることを願いながら、引きつづきこの五輪・パラリンピックを見守っていきたいと思います。安心安全を追求することを忘れずに。

25日はそんな明るい気持ちをグングン加速させるような時間でした。午前中の競泳決勝では日本競泳陣の新エースである大橋悠依さん(※前任者はプライベートの問題と単純に遅かったので降格)が女子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得。前日の前エース降格の時点で「妙にタイムが出ないな…?」「もしや日本だけ午前決勝に順応してて逆に予選で弱い説か…?」「今大会の金は厳しい…?」という不安もありましたが、あっという間に不安を払拭してくれました。いける、いけるぞ、競泳ニッポン。大橋さんを中心に頑張ってください!

↓やっと届いた世界の「金」!元気と勇気をもらいました!


さらにこの日はメダルラッシュの様相。新競技のスケートボード男子ストリートでは、堀米雄斗さんが地元に錦を飾る金。堀米さんをはじめとする選手たちと、コーチ陣や解説の方も含めて皆の「楽しそう」な雰囲気と、それを日本の人々も前向きに受け止めていることに新しい時代を感じさせてくれる試合でした。その陽気さに「眉をひそめる」のではなく「楽しそうでいいね」と受け止める空気、チャレンジそのものを評価し失敗もチャレンジの証と笑い飛ばすような空気が広がってきているなと思います。自分自身も「眉をひそめる」ような気持ちが、いつの間にか薄らいでいるなと感じます。

もともとストリートカルチャーから生まれたスポーツたちは、選手がとても楽しそうに、自分のスタイル(個性)を追求してきたものです。スポーツになる前に文化になっていたものです。勝ち負けというよりは、カッコよさを張り合うような形で。しかし、日本では自分のスタイルで服装を着崩していたり、自分のスタイルでラップを決めたりすると、それをモラルに反する蛮行かのように指弾する動きがありました。ストリートに根を張る選手たちに「チッ、うっせぇ、うっせぇ、うっせぇな、あなたが思うより反省してます」と頭を下げさせてきました。そこまですることはなかったなと思います。今ならそういう自由な個性とも、もう少し穏便に折り合えるかもしれないなと思います。

いろいろな人がいて、みんないろいろでいい。

世界にはこんな空気もあるのだと知る、それもまた五輪・パラリンピックだなと思います。

↓ウェアも日本柄のレインボーユニでオシャレ!


↓「ビタビタに決まって鬼ヤバイ」なんて解説も楽しそうでイイじゃない!



その後も朗報が続々と届く日本選手団。卓球混合ダブルスでは絶対絶命のピンチからの大逆転劇などで水谷・伊藤組が決勝進出を決め、中国ペアと「金」を争うことに。ソフトボールも守護神・後藤さんの好リリーフでカナダを振り切り、アメリカとの金銀決着戦への進出が決まりました。メダルは確定したうえで色を狙うという「上がるしかない」戦いの予約2件、また楽しみが増えました。バドミントン、テニスでの実力者の順調な勝ち上がりや、団体競技での好試合・快勝などそれそれがこの大会への準備を発揮してくれていることに嬉しさと頼もしさを感じます。

そして、いずれもが新聞一面級の朗報たちをさらに上回って輝いた阿部一二三・詩の兄妹による「兄妹同日金」という大偉業。あるかもしれないとは言われていたことですが、本当に達成してしまうとはお見事です。そのうえ、阿部詩さんという傑出した個は、「日本柔道界がいまだ制覇できていない女子52キロ級の壁」も簡単に突破してしまいました。最強の兄妹はどこまでいくのか。五輪の金でもまだまだ天井が見えないスケール感に脱帽です!



昼セッションの3回戦、準々決勝、阿部兄妹は強かった。先に3回戦の畳にあがった詩さんが投げて抑えてのあわせて一本で易々と勝利すれば、一二三さんは組むことを拒んで逃げ回る相手を「両袖」をつかんでの「袖釣り込み腰」に見せかけて逆に「大外刈り」で背中側に倒すという仕掛けで鮮やかに一本。初の五輪という硬さはまったくありません。準々決勝も詩さんは相手の投げを潰して、そのまま横倒しにして技あり。一二三さんも消極的な相手を大外刈りで技あり。大得意の投げ技だけでなく足技も冴えています。

互いの試合を互いが見守る兄妹は、夕方のセッションでも快進撃を見せます。詩さんの準決勝は指導をもらわない程度に上手く逃げ回る相手に延長までもつれ込みますが、トータル7分を超えたところで内股技あり。組み際、電光石火の投げでした。一二三さんの準決勝は、胸に「家族」のタトゥーを入れたブラジルのカルグニンが相手。一二三さんは「ワシは家族と出ている」とばかりに背負い投げで鮮やかに一本。これで兄妹同日金まであと1勝ずつとします。

迎えた決勝、先に登場の詩さんはこの日絶好調のブシャールが相手。ブシャールは飛び込んで奥襟をつかみ、詩さんの技を封じようという戦いぶり。試合当初はそれを食って頭を押さえつけられていた詩さんですが、試合途中からはその飛び込みを見切ってさばくようになります。この日のために用意した策だったのでしょうが、あっという間に見切られて、これでブシャールは攻め手がなくなりました。

互いにポイントがないまま延長に突入し、試合時間8分を超えた頃には、ブシャールは疲労からかほぼ棒立ちで後ずさりという状態に。一方で詩さんは元気いっぱいに攻めつづけています。最後は相手が地面に突っ伏しての防御姿勢を、強引に起こして裏返し、そのまま抑え込むという力技。10秒抑え込み時点でポイントが入り、ゴールデンスコアでの勝ちが決まった詩さんですが、一本の20秒まで抑え込みつづけ、完勝での金メダル。投げ技をどれだけ防御されても、寝技で上回って勝つという勝ち筋の広さ。破れたブシャールの呆然とした表情が印象的でした。早くも3年後に向けて「どうすりゃええんじゃ…」とでも思っていたでしょうか。いやー、詩さん強かった!

↓とんでもない強さで女子52キロ級の壁、破壊!




その結果を見届けて畳に上がる一二三さん。試合時間2分にかかろうかというところで、またも「袖釣り込み腰と見せかけての大外刈り」という連携で技ありを奪います。もともと投げの鮮やかさで世界を制した一二三さんですが、そこに足技も絡めることで「防ごうとしても防げない」というさらなる強さを手に入れました。

ただ、そこで「勝った」「勝てる」と計算が働いたでしょうか。残り2分間は組むことを拒みながら徹底して防御の構えとなり、逆に危うい場面も生まれます。このあたりは少し精神的に憶病になった瞬間だったかもしれません。「相手が死にそうだな」という状況で「そのまま死んでくれ」と願うか「よしトドメ刺そう」と奮い立つかの差とでも言うべきか、ちょっと守ってしまったなと思います。

それでも一二三さんはしっかりと守り切ると、兄妹同日金の大偉業を達成。畳の上では喜びを見せないと誓っていたと言うとおり、一礼してようやくの笑顔を見せた一二三さん。むしろ見守る詩さんが「観戦している家族」の姿で、バンザイ大喜びだったのが印象的でした。自分の勝利の余韻に浸ることもなく、もう「妹」に戻っている。五輪すらも日常の一部という大物ぶり。一二三さんが勝ってさらに詩さんのスケールの大きさを感じる、そんな兄妹金でした。

↓「一二三」つながりで将棋の加藤一二三さんからもお祝いが!


↓やっぱりお兄ちゃんも強かった!


柔道界の新たなアイコンとして、そして「一二三」の名にちなんで、一二三さんには野村忠宏さんの五輪三連覇という偉業への挑戦が期待されることでしょう。パリ、そしてロスのエースとして。しかし、それ以上に大きな期待を寄せるべきは詩さんなのだなと、そのスケール感に圧倒されるような五輪でした。

とりわけ印象的だったのは試合直後のインタビュー。詩さんは、選手たちからよく聞く「支えてくれた人のおかげで…」という物言いではなく、「私の努力がやっと報われてよかった」とキッパリと言い切りました。それが唯我独尊的だという話ではなく、その言葉を聞いて、詩さんはまだ使っていないチカラがあるのだと感じました。

詩さんは自分のチカラでこの大会を制したのでしょう。勝ちたい、強くなりたい、そういう内なるチカラで。ただ、多くの選手は頂点を目指す過程で、それだけでは乗り越えられない壁にぶつかり、その苦しさを乗り越えるチカラを、支えてくれている人、応援してくれている人への「感謝」から得ていきます。こんなに苦しいのに何故私は頑張るのだ、という問いを「あの人に報いるため、あの人の笑顔が見たい」という他者から生まれるチカラに求めることで、さらに強くなるのです。

自分の喜びは自分の苦しみで相殺されますので、「こんなに辛いならもういい」となってしまいます。しかし、他人の喜びは自分がどれだけ苦しくても変わりませんので、あの人の笑顔を見るためならどれだけでも頑張ることができます。そういうチカラを得ることで、さらに強くなれる。そのチカラを詩さんはまだ使っておらず、五輪を圧勝してもなお底が見えない、奥深い伸び代がある。そう思います。

詩さんが勝ちつづけることで一二三さんも兄として勝ちつづけることを求め、互いが互いを引っ張りながらふたりで勝ち進んでいく…そんな兄妹の活躍がこれからもつづくのかなと思います。一二三さんが「一二三連覇」を達成する日には、詩さんも「お兄ちゃん、先にやっておいたよ」の三連覇を達成しているのだろうなと。逆に言えば、詩さんが三連覇するようなら、一二三さんもそこに届く、そういう二人三脚なのかなと思います。

もしも人生の設計が噛み合うようなら「一(いち)二(に)三(さん)詩(し)」で四連覇というところまで想像しながら、今後もこの兄妹の活躍を見守れればと思います。4年後、8年後まで予約をしたくなる楽しみが生まれたことにありがたさを覚える、阿部兄妹の見事な「一冠目」でした!




「妹よりも強い兄」で居つづけられるよう、お兄ちゃん頑張れの気持ちです!

「内村、無念」ではなく「高藤、金」で見出しを掲げられるようにしてくれた、高藤直寿さんの絶対に勝つための5年間に一礼の巻。

07:00
日本には柔道がある!

本格的に競技開始となった初日。ひとつの結果に胸が締め付けられるような気持ちになりました。種目別鉄棒での金メダルを見据えて東京五輪にやってきた内村航平さんが、予選の演技中にシュタルダー一回半ひねりで落下したのです。ブレットシュナイダーはこの日も美しく決めたのに、です。この大過失で内村さんは予選落ちとなり、開会式からわずか15時間ほどで「内村航平の東京五輪」は終わりました。

言いたいこと、伝えたいことがたくさんありますが、今はまだ体操ニッポンが五輪を戦っている最中。この落ち込んだ気持ちで内村さんの東京五輪をまとめるにはまだ早いと、後輩たちの演技を見て確信しています。今は取り急ぎ「ありがとうございます」「引き続きよろしくお願いします」の二言だけを。そして、一区切りしたときには「おめでとうございます」を付け加えられることを信じて、この気持ちを噛み殺したいと思います。

↓たとえどんな結果であっても「結果がある」ということに感謝でいっぱいです!


夜が明けたら「内村、無念」の新聞が並ぶのだろうか…そんなことを思いながら、ほかの競技を見守ります。しかし、見出しになりそうな候補たちはいずれも少し寂しさを覚えるものです。「三宅、完全燃焼」とか「瀬戸、まさか」とか。もちろん朗報もなかったわけではありませんが「男子バレー29年ぶりの勝利」や、予定通りならそうなるだろう「池江、泳いだ」は、まだ取り上げるには機が熟していないものばかり。

もし、「内村、無念」の見出しを掲げずに朝を迎えられるとしたら、そこには「金」が必要でした。内村さんの金が消えた以上、それを掲げずに済ますには金が必要でした。五輪において、日本がはじまりの金をすがる相手は大体いつも柔道です。大会の前半、日本勢を牽引し最初のメダルを担保してきてくれたお家芸。1964年東京五輪で正式競技となり、2020年東京五輪に凱旋した日本発祥の世界的競技。熱い信頼があるからこそ人々は柔道にすがり、誇りがあるからこそ柔道家たちは苦しんできました。

彼らは銀で泣きます。

世界で2番目の人しかもらえない貴重なメダルをもらっても、彼らは泣くのです。銀でもいいじゃないかとは思いますが、もっと高いものを目指していた人が覚える痛みを他人がどうこうできるわけもなく、「あなたのメダルです。大事にしてください」と労うのが精いっぱい。そこまでの覚悟で自分を高めてきた人がいるから、日本選手団は勢いよく走り出すことができ、明るい気持ちで朝を迎えられるのです。

今回、それを託されたのは女子48キロ級・渡名喜風南さんと、男子60キロ級・高藤直寿さんでした。ともに世界選手権を制したことのある「金」の格の選手。特に高藤さんは、前回リオでも金メダル候補として大会に臨みながら、準々決勝という早い段階で敗れて銅となった雪辱の五輪です。本人が望むものと、見守る者が望むものは完全に一致しています。悲願の「金」を。初日に朗報を届けられる最後の砦として、ふたりの戦いを見守ります。


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渡名喜さんの初戦(2回戦)の相手はロンドン銅のチェルノビスキ。この選手は渡名喜さんの指導につく福見友子さんをロンドン五輪で下し「福見のメダルを消した」因縁の相手です。渡名喜さんは強引にでも相手を地面に引きずり下ろすと、そこからの寝技で攻めにいくという柔術のようなスタイル。この試合も強引な投げから寝技に持ち込み、合わせて一本で勝利しました。

試合を決めた場面以上に、その手前で寝技を狙っていた場面が印象的で、「ガードポジションを取る相手にスタンディングからニーを落として、そこから関節を極めにいった」と総合格闘技風の描写をしたくなるような動き。表情や構えなども、どことなく総合格闘技に出てきた柔術家のようです。

勝ち上がって準々決勝の相手はリオ金のパウラ・パレト。難敵がつづきますが、渡名喜さんはまたも寝技の攻防に勝機を見い出します。相手が投げを打ったあとの腹這いの防御姿勢、通常ならそのまま「待て」あるいは立って再開となるところを、渡名喜さんは待ってましたとばかりに相手を強引に裏返しにさせます。

「ローリングしてレスリングなら2点…」などと思っていると、そこから抑え込みに持ち込み、相手が嫌がると今度は腕ひしぎを狙いにいきます。審判が「抑え込み!」を告げてもお構いなしで、そのまま腕ひしぎで極めて、相手から「参った」を引き出しました。コーチ席で手をあげる福見コーチの姿は「折っちゃう前に止めてあげてくださーい」といった雰囲気。PRIDEのテーマでも流したらすごく似合いそうです。

夕方のセッションでの準決勝。2018年、2019年の世界選手権決勝で敗れたビロディドが相手。難敵つづきのうえに「事実上の決勝戦」というような顔合わせです。金への道は険しい。長身のビロディドは渡名喜さんの奥襟、背中を容易につかむことができ、不利な態勢に持ち込まれることがしばしば。そこを渡名喜さんは粘って長期戦に持ち込み、最後は相手の投げを潰してから、腕を取って引っくり返しての横四方固めで抑え込み一本。対策に対策を重ねて、ついに宿敵を打ち破りました!

↓決勝進出を決め、渡名喜さんが日本勢のメダル第1号に!


迎えた決勝戦。対戦相手はコソボのクラスニチ。相手の内股を腕ひしぎで返すような動きや、下から頸動脈を締める動きなど、渡名喜さんは引きつづき柔術のように攻めていきます。試合全体としては渡名喜さんのペースで、チャンスも何度かありました。しかし、残り20秒というところで、相手のいい組手から内股で技ありを許しました。立ち上がったときには残り6秒で、もはやどうにもできず。渡名喜さんは事実上の決勝戦を超えながらも、現実の決勝で敗れることになりました。

試合を終えたあと相手に歩み寄り、互いを労う姿。畳を降りた途端にうずくまって泣き出してしまうような気持ちをこらえ、渡名喜さんはしっかりと連帯のなかで試合を終えました。「自分の弱さが出た」というインタビューでの言葉は、世界大会の決勝で敗れてきた積み重ねを振り返ってのことでしょうか。もしも準決勝ではなく決勝でビロディドと戦っていたなら、「この相手に勝たねば金はない」と覚悟していた相手と決勝でやれていたなら、もう少し違ったかもしれないなと思わされるような言葉でした。しかし負けは負け。されどメダルはメダル。これが自分のメダルだと、大事にしてもらえたらいいなと思います。

↓東京五輪、日本のメダル第1号ありがとうございます!

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男子60キロ級、高藤さんの初戦は2回戦。高藤さんは、左の釣り手を取って半身となり、そこから足を飛ばす、投げを打つ、あるいは捨身技を仕掛ける、寝技に持ち込むなど変幻自在な動きが持ち味です。と同時に、試合のコントロールも巧みで、流れに応じて攻める・こらえるの読みと、ときには指導の数までも意識した駆け引きもできます。

初戦となった2回戦では、相手の攻めを封じながら時間いっぱいまで使い、最後は内股での一本を決めました。これだけキレイに決まるのならもっと早く勝てそうな手応えはあったのだろうと思いますが、動きの確認や五輪への順応も含めて、じっくりと戦ったのでしょう。さすがの試合巧者です。

準々決勝の相手は19年世界選手権王者のチフビミアニ。試合途中には寝技なのか立ち上がりながらの裏投げなのか微妙な動きで、高藤さんが引っくり返される場面もありましたが、ビデオ判定によって事なきを得ました。ゴールデンスコアの延長戦でも投げの打ち合いに負けそうな場面を、頭で身体を支えてしゃちほこのような姿勢で耐え抜きました。粘って、粘って、最後は相手が抱きついて投げにいく(ベアーハグ)反則を取られ、指導3つの反則負けに。難所を乗り越えました。

つづく準決勝は非常に馬力のあるスメトフが相手。抑え込みに入ってもそれを強引に外されるなど、なかなか技が決まりません。それでも両者ポイントなくゴールデンスコアの延長戦が5分を超えた頃には、さすがのスメトフもグッタリという状態。高藤さんは粘り強く戦い抜き、互いに指導ふたつという状況では「組みましょう」とあえて手を差し出してみたり、「今のはかけ逃げでは?」とアピールしてみたり、技で決まっても反則で決まってもヨシという何でもやるぞの構えで勝利を狙います。

最後はトータル10分を超えたところで、フラフラのスメトフを押し倒し、技ありを奪って勝利。その状態でも相手を労い、引き起こすなど柔道家としての見事な振る舞いも見せた高藤さん。さすが日本柔道、一日24分程度までなら全力でやれますよというあたりをしっかりと見せてくれています。

↓最後はもう相手が疲れちゃってましたね!


すでに渡名喜さんの決勝は終わっており、この日「金」があるとすれば、この試合しかないという状況での決勝戦は台湾の楊勇緯が相手。互いに組み合わないということでの指導と、楊勇緯が消極的であるということでの指導が出て、高藤さんが指導の数でリードする展開に。なかなか有効な技が出ないままゴールデンスコアの延長戦に入ると、高藤さんは技での勝利もにらみつつ、「かけ逃げでは?」のにらみを審判にきかすことも忘れず、両面での勝ちを狙っていく構え。組手や戦いぶりに「伝統の日本柔道」という感じはありませんが、それもまた個性。前回の敗戦から学んだ5年越しの戦いです。

解説席からはその狙いに対して「(相手の指導を)待っているだけでは自分にも2枚目が来る」「これはちょっと2枚目が(高藤に来そう)」という注意も飛び出しますが、高藤さんの動きは変わりません。半身に構えて不用意な技は出さない、相手の技は徹底的に備えて食わない、指導でも勝ちは勝ち、という徹底ぶり。試合時間トータル7分を超えた頃には「両者指導でも構わんッ!」とばかりに互いに何もできない展開での「両者指導」を狙い、相手の両腕を固定し始めました。まるで立ったまま抑え込みを決めているかのようです。

審判から「待て!」の声が掛かったとき、すでに高藤さんは勝利を確信したでしょうか。「どういうことだ」とアピールするかのような両手を挙げる動きは、まるで万歳のようです。やがて楊勇緯に3つめの指導が出て反則負けとなると、高藤さんは改めて勝利のガッツポーズを見せました。勝ち方は伝統の日本柔道が望むスタイルではなかったように思いますが、「勝ちは勝ち」として堂々と誇ります。試合を終えて相手を讃える姿、畳に一礼して下がる姿、最後まで振る舞いは立派なものでした。

↓開催がなければこの5年は実らなかった!


「これが僕の柔道です」

指導での勝ちが自分の理想の柔道であろうはずがなく、投げられるものなら投げたいに決まっていますが、どんな勝ち筋であっても、勝利に向けてすべてを追求するのだという覚悟の言葉だなと思いました。この日、この時、この瞬間、絶対に勝つんだと誓ってすべてを捧げてきたからこそ胸を張ってこう言えるのだろうと。何故負けたのかを5年間悩み反芻し、次は絶対にそうはならぬと尽くしてきた重みがあるからこういう言葉になるのだろうと。

前回リオの際は「明日の一面」を想像して、何か面白いことのひとつも言ってやろうと思っていたと振り返る高藤さんでしたが、いざ宿願を果たしたあとは面白いことが割って入る余地もなくなるのがオリンピックだなと思います。すべてを捧げてきたあとで、そこに残る真実が覗くのがオリンピックだなと思います。勝ったあとは、感謝と歓びしか残らない、いかにもオリンピックらしいコメントでした。

「高藤、金」

そして、想像などするまでもなく、結果が出たあとにコチラが掛ける言葉は同じです。新聞社もきっとこちらを選んでくれているでしょう。この大会が明るく前向きに日本を照らすためには、残念なところを探しに行くのではなく、歓びを広げることが必要です。今大会も柔道はちゃんと歓びを生んでくれました。この日が救われました。決定的な朗報は、ちゃんとこの日も生まれた。

復興を願うひまわりの花を手に、金メダルを自ら首にかけ、君が代を聴く高藤さんの姿。その表情はすでに「何か悪ふざけをしそう」なおなじみの表情に戻っていました。早速、コロナだからやるなと言うとるのにメダルを噛んでみせるような振りも披露していました。この明るさを、素直に皆が笑えるように、願いたいと思います。はじまりの金をありがとうございました!

↓噛むなよ、噛むなよ!噛むと右からも左からも怒られるから噛むなよ!


↓朗報をありがとうございます!よくここまでたどり着いてくれました!


悔しいぶんだけ歓びも深くなる!

悔しいぶんだけ道を究められる!

悔しい結果に終わった人にも希望をくれる、雪辱の金でした!



この朗報は人々に対してだけでなく、日本選手団にも元気と勇気を届ける!

東京五輪柔道男子66キロ級決着!24分に及ぶ世紀の一戦を制して、阿部一二三さんが事実上の東京五輪金メダルに決定ですの巻。

08:00
東京五輪柔道男子66キロ級、決着!

試合ではなく死合。この戦いの勝ち負けが柔道家としての「死」をも意味するような決戦。二度世界を制した新世代の旗手・阿部一二三と、阿部の時代に沸く世間を自らのチカラで黙らせ、一度は東京の目前にまで迫った丸山城志郎。金メダルを獲るチカラを持つふたりが戦い、勝ったほうだけが東京五輪に出場できる、生と死を分ける決着戦が行なわれました。

コロナ禍によって無観客となった聖地・講道館は、まさしく現代の巌流島でした。ふたりの強者が誰に見せるためでもなく、己の最強を示すために戦う。見届けるのは講道館柔道の父、そして日本オリンピックの祖である嘉納治五郎氏。この残酷で尊い戦いを迎えるのに、これ以上ふさわしい舞台があるでしょうか。見守るこちらまで背筋が伸びる思いです。

↓互いの存在があったからこそ強くなれた、そう思える相手を見つけたふたりの戦い!


ふたりは互いの柔道人生の節目節目で遭遇し、その勝敗で大きく紆余曲折をしてきました。はじめて激突した2015年の講道館杯、新生・阿部一二三を下してリオ行きの可能性を摘んだのが丸山城志郎だったという、はじまりからして濃密な因縁。日本一を懸けて争い、世界選手権の代表を懸けて争い、世界のどの相手とするよりも厳しい戦いをふたりは日本で繰り広げてきました。通算対戦成績は阿部の3勝4敗、五分五分です。

2017年・2018年と世界選手権を二度制し、ほかの国ならすでに代表決定とも言えるだけの実績を残した阿部。阿部にストップをかけ、逆に2019年世界王者となって代表争いに逆王手をかけた丸山。丸山が勝てば代表争い決着となるはずだった2019年11月のグランドスラム大阪で、神業のような支え釣り込み足で逆王手返しを見せた阿部。「調整のためになるべく早く代表内定を出したい」という考えの柔道界にあって、このふたりは2019年を終えてもまだ横一線で競り合っていました。2020年に入っても。コロナ禍のなかでも。

5年にも及ぶ長い因縁は恋物語のようですらあります。この相手を倒すために、相手のことを思い、知り、理解し、そして裏切るための策を練る日々。「相手がいたから強くなれた」は真に心からの言葉でしょう。ひとりでも世界王者・金メダリストになっただろう選手が、ふたりで互いを高め合ってきたのです。どちらが勝ったとしても「ふたりだからこうなった」という極みがきっと生まれる。それは負けたほうの夢が「死」ぬからこその極みです。すべてを妥協なく行ない、すべてを出し尽くす。その「死合」の覚悟がもたらす極みです。

↓東京五輪よりも先に「すべてを懸けて臨む」戦いが始まる!

もう大晦日の格闘技決戦とか、これで終わりでよかろう!

これ以上の戦いは演じられない!



青の柔道着、阿部。白の柔道着、丸山。互いと、嘉納治五郎氏に礼をして始まった試合。ふたりはいわゆるケンカ四つで、阿部は丸山の左襟・右袖を狙い、丸山は阿部の右襟・左袖を狙うため、互いの手が交錯し、激しい組手争いとなります。ボクシングでのジャブの打ち合いのように手を出しては引っ込め、相手の手を払いのけては自分の手を伸ばすことの繰り返し。お互いがお互いの両袖を握って、膠着することもしばしば起こります。開始ゼロ秒から熱く激しい攻防です。

阿部は丸山の左半身から攻めかけていきます。丸山の左袖をつかんでの袖釣り込み腰の構え、あるいは右足を飛ばして出足払い。丸山が得意とする巴投げなどの捨身技を出させないように、重心を下げ、正面に入らず、遠めの間合いから技を出していきます。アウトボクサーが軽やかなステップでヒットアンドアウェーを繰り返すような動きです。

一方の丸山、決め手は得意の巴投げです。この技で阿部を頂点から引きずり下ろしたこともあります。ただ、捨身技をそう簡単に喰らうような相手ではありません。相手の正面に入り、密着した状態をどう作っていくか。ひとつのパターンとしてあるのは、内股で飛び込んでから反転して巴投げに入るという連続攻撃。しかし、このパターンは2019年のグランドスラム大阪で内股を透かされ、痛恨の敗戦につながりました。はたして今回はどう出てくるか。

序盤積極的に仕掛ける阿部と、チャンスをうかがう丸山。その待ちの姿勢に「指導」も出ますが、決して消極的な試合ではありません。得意技と組手の関係で阿部が先手を取ることが多いというだけで、その攻めを受け切ったあとには反撃を繰り出すチャンスがあります。「待ち」はあっても「逃げ」はない。あっという間に本戦の4分間が終わります。並みの選手ならこの4分間で何度も仕留められているような互いの攻めが、互いを知り尽くした強者によってすべて無効化されて4分間が終わった。1試合ぶんの時間を終えても、まだ様子見といった感触さえあります。何も起きていないのにすごい試合です。

ゴールデンスコア方式での延長戦。丸山が膠着状態から肩車を見せれば、阿部は遠めの間合いから大内刈りを飛ばす。丸山からは巴投げ、内股が。阿部からは背負い投げ、出足払いが。お互いが得意技を出し「それは知っている」とさばく。剣と剣がぶつかり合って激しく音を立てるが、お互いに手傷は負っていない…そんな時間が5分、10分、15分とつづいていきます。

戦いのなかで生じたものか丸山の額には擦ったような傷に赤い血が滲んでいます。阿部は試合途中で爪を剥がしたようで、左手の指先に血が浮かんでいます。その血は丸山の白の柔道着にいくつもの筋となって残る返り血のよう。身体には汗が流れ始めますが、体力気迫は依然として十分です。どこまででもこの試合がつづきそうな気配すら漂い始めます。

そんな膠着状態のなか、先に動いたのは丸山。この試合の策か、釣り手争いを繰り広げている阿部の右手を狙った逆の一本背負いを見せます。この動きにはビクッと大きく反応して防御する阿部。丸山は一本背負いを意識させておいて、得意の内股へとつないでいく構えか。負けじと阿部も捨身技・隅返しで丸山を跳ね上げようという動きも。

互いの得意技を「それは知ってる」で無効化しあうなかで、「これは知ってるかな?」も用意しないといけなくなる。すなわちそれは互いにレベルが上がっていく戦いであるということ。最後の決め手は互いの得意技だとしても、それを活かすための崩しや工夫が積み上がっていく。濃密な戦いです。濃密だから長くなるし決着がつかなくなる。ついに試合は20分を超え、中継するテレビ東京は十分に用意したはずの放送枠におさめることができなくなりました。

↓試合の最初から最後までYouTubeで無料配信をしていたのに、地上波中継を打ち切ったことを謝罪するテレ東の潔さ!

1試合4分の競技で延長16分まで中継したんだから、しょうがないですよね!

サッカーだったら「アディショナルタイムが6時間あった」みたいな話ですよ!



延長17分を過ぎたところで、丸山に大きなチャンスが訪れます。たびたび出足払いや大内刈りを繰り出してきた阿部の右足を外から刈って倒そうとする新手の仕掛けを見せたのです。大きくバランスを崩し、たまらず反転して逃れる阿部。「イヤアアア!」と道場に響く大きな声。あるいは勝負を賭けた一手だったか。足への攻めはほとんど見せてこなかった丸山が仕掛けたここぞの技でしたが、ここは阿部の反応が勝りました。

そして迎えた延長19分30秒過ぎ。あるいは体力的な部分でそろそろ決着の時と感じていたのか、丸山は激しい組手争いのなかでスッと自分の右手を差し出します。それはまるで「つかめよ」と言わんばかりでした。どういう意図なのかはわかりかねますが、僕はそれを「柔道で決着をつけよう」というサインだと受け止めました。組手争いを無限にやってもいいが、引き手を取らねば互いに技は決まらないだろう、ならば組手十分で「技の勝負」をしようじゃないか、という誘いなのかなと。まるで決着の前の「握手」のように見えました。

丸山は右手を差し出す。

阿部がそれをつかむ。

互いに不十分と見て千切れる。

しかし、また丸山が右手を差し出す…。

その繰り返しのなかで阿部が下から引き手を深く取ると、すかさず右足から小外刈りを仕掛けます。こらえる丸山と、つづけざまに大内刈りで二の矢を放つ阿部。一歩引いてかわす丸山と、さらに再びの大内刈りで三の矢を放つ阿部。深く入った阿部の大内刈りを、逆に小外刈りで返そうとする丸山でしたが、丸山が捨身で掛けてくる体重を、阿部は身体をねじって押し込むようにしてさらに押し返しました。丸山の背中は畳についたか……判定は技あり!

最後に引き手を取ってからわずか3秒。その刹那に数多くの攻防があり、24分の死闘に決着をつける技が決まりました。無言で畳を去る丸山と、号泣する阿部。すごい試合でした。すさまじい試合でした。24分に柔道家としての年月を凝縮するような試合でした。これが五輪の決勝なら、どんなにか名勝負として語り継がれたことでしょう。もはやこの試合の前では五輪すら「普通」の試合に感じられるほどです。

↓この試合はフルで見る価値がある!歴史に大きくは残らない現代最高の一戦!


「ひとシーンも忘れられない試合になった」という勝者・阿部の言葉がすべて!

24分に20年あまりの時間が流れる、走馬灯のような試合でした!

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あえて決着の理由を挙げるなら「反応」だったと思います。体力、技術、気力、この勝負にどちらかの敗因を見つけ出すことはできません。ただ、試合の端々において阿部の「反応」は丸山の柔道を凌駕していました。決まったかと思う技を驚異的な反応とボディバランスで逃れ、丸山の投げ技を別の投げ技でカウンターして潰し、最後の最後で返し技をさらに返して押し込んでしまう。阿部の「超反応」はふたりをわけるスペシャルな能力だったなと思います。それは研究とか鍛え方とではない、「強い」としか言いようがないような差だったなと。

そうやって「強い」ほうが勝つ試合になったのは尊いことだったなと思います。柔道にはときに「指導」による決着などもありますが、この試合が技による完全決着であって本当によかった。チカラを出し尽くし、技を出し尽くした果てに、強いほうがが勝って終わってよかった。そうでなければ摘み取られた夢が報われません。自分が負けたのではなく、相手が勝ったのなら、それはもうしょうがないことですから…。

さぁ、次は東京五輪。五輪とは言っても、世界一のチカラを持つ柔道家・丸山城志郎が徹底した研究と対策のもと、柔道人生を懸けて立ちはだかるほどの壁はないでしょう。この試合に勝っておいて、東京五輪で魔物に食われるようなことは考えられませんし、また赦されるはずもありません。ふたりの世界一の柔道家が「死合」に臨み、ひとりの夢が潰えた。生き残ったほうは、相手のぶんまで背負って勝つ責務があります。この試合が真に「東京五輪柔道男子66キロ級の決勝戦だった」と歴史に遺させてほしい。そう語り継ぐことができる試合を、東京五輪でしてほしい。

全試合一本での完全なる金メダル。

阿部一二三さんには、それを強く望みます!


この試合をやった選手が、東京五輪で負ける姿など想像できません!

正直牛乳入りのほうが美味いとは思うけれど、体験としては大満足となった松本薫さんアイス店「Darcy’s」訪問の巻。

12:00
この勢いで早くオンラインショップを始めるんだ!

これが野獣の勢いなのか。7日に行なわれた柔道・松本薫(ベネシード)さんの引退会見は、引退会見とは名ばかりのセカンドキャリア大発表会見でした。今後の人生の展望を問われた松本さんが発した「アイスクリーム作ります」の言葉。「何言ってんだコイツ…」「オヤツ作りの話を聞いてるんじゃなくて…」「仕事の話をですね…」とキョトン顔の記者が改めて聞き返し、改めて松本さんも「アイスクリーム作ります」と応じるコントのようなやり取り。それがまさか本当にアイスクリーム屋を始めるということだったとは。

↓「妖精が見える」などの数々の不思議発言が、まさかビジネスの話などしないだろうとキョトン顔にさせた電撃発表!


記者:「第二の人生は…」
松本:「アイスクリーム作ります」
記者:「と、言いますと…?」
松本:「アイスクリーム作ります!」

2月12日に高田馬場駅そばにオープン!

完全に仕込み終わってからの発表でした!


↓こちらのお店、罪悪感なく食べられるアイスクリーム「Darcy's」で働きます!

食べない人を罪人に認定し、厳しいお仕置きを与えるわけではありません!

アスリートでも食べやすい、健康志向のアイスだそうです!



用意周到とはまさにこのこと。松本さんは現役時代も前所属フォーリーフジャパン柔道部が廃部となったときに、すぐ翌日には新しいチームにまるっと移籍するという切れ目のない動きを見せ、結婚や出産といった人生の大きなステップもポンポーンと経験してきましたが、この俊敏さこそ野獣の動き。昨年11月の講道館杯で敗れた時点から引退をハッキリと意識したのでしょうが、それを中途半端に口外するのではなく、次の動きを考え、仕込み、全部が整ってからすべてをお伝えするというのは、優しい引退だなと思います。

引退に伴う寂しさや不安というものが、すでに決まっているセカンドキャリアの存在によって払拭され、華々しい門出となる。それは応援する側にとっても幸せなことだなと思います。ボンヤリと中途半端なまま見守ることなく、すぐに次の行動に移れるのですから。寂しさにひたる情緒はないかもしれませんが、「応援」は今すぐに始められる。そして、そこまで整っているのならば心は決まっているのだろうと、ヘンな揺り戻しへの期待や祈りも持たずに済みます。スパーンと切り替えられる。「意識した瞬間にすぐ口外し、残りの時間をともに過ごす」も悪くないですが、「完全に整ったあとで口外し、次のステップをすぐ踏む」も悪くないものです。

↓ということで、早速「Darcy's」に行ってきましたよ!
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かつてこれほど注目されたアイス屋のオープンがあっただろうか!

引退会見より報道陣が多そうな予感!


「Darcy's」は所属先であるベネシードが手掛ける店で、松本さんが開いた個人店ではありません。ベネシードはサプリメントや化粧品などを販売する会社で、ベネシードの理念に共感した個人等が代理店となって商品を世に広めていくような業態であるとのこと。

今回松本さんが手がけるアイスも「罪悪感なく食べられる」のキャッチフレーズどおり、乳製品・小麦粉・白砂糖を一切使用しない健康志向のアイスであるのだとか。太ってはいけない階級制の競技に臨むアスリートなのに、それでもアイスとかビッグパフェを食べたいと思って過ごしていた松本さんの柔道人生ともクロスするアイス。アレルギーに悩んでいる人や、動物性の食品を避けている人にも食べられるフレーバーも用意しているなど、アイスというより健康食品のよう。

↓乳製品・小麦粉・白砂糖不使用!
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↓脂肪燃焼・むくみ改善・アンチチジング・ダイエット・美容・風邪の予防・有機JAS認定・オーガニック!
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なんだかすごく健康によさそう!

「アイス食べないほうが健康によいのでは…?」とか言わないでください!

「健康になりたいけど、アイスも食べたい」という願いを叶えるための取り組みです!




場所は高田馬場駅そばにある東京富士大学の構内。普段は学生たちの就活センターであったり、学食として使用されている建物の一角に店を構えています。いわゆる「東京富士大学」とは別棟の建物になっているので、訪問の際は間違えないようにしていきたいところ。

↓まずは高田馬場駅に向かい、早稲田口を出ます!
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↓手塚キャラの壁画を舐めながら、左手に進む!
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↓すると「東京富士大学入口」というわかりやすい表示のあるさかえ通りが見えてくるのでここを進みます!
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↓しばらく真っ直ぐ進むと遠くに東京富士大学が見えてきます!

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↓初日は「絶対間違えるやろ…」という気遣いで、ココじゃなくてアッチですという看板も!
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↓道なりに進んだ先に見えてきた5号館、コチラの一角に「Darcy's」があります!
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いかにも入口っぽいガラスの扉は学食などへ通じる本来の入口。なかには休憩スペースなどがあり、初日はそこでアイスを食べることもできました。「Darcy's」の入口は建物の左手側の隅っこ…ちょうど柱で隠れているあたりにあり、基本的にはテイクアウト専門店となるようです。目印もなく、ひっそりとしており、店内もカウンターとレジ、そして作業場があるだけ。

アイスケースもスペース的にごく小さいものしかおさまらず、フレーバーも現段階では「2種類の味×素材の違いによる二段階」の合計4種類のみ。選ぶ楽しさとかではなく、もう「コレを食え!」という決定版のご提供を受ける感じです。オススメというか一番人気というか、両方の味を一度に楽しめる「ハーフ&ハーフ」というセットがあるので、特にこだわりがなければハーフ&ハーフ一択ではないでしょうか。

↓店舗入口の目印はこのランプ。藪に潜む猛獣の目だけがキラリと光っているイメージで探してください!
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↓建物本来の入口のまわりにはお祝いの花がたくさん!夏らしくTUBEさんからもお花をいただきました!
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オープン前には松本さんが報道陣の前に立ってご挨拶する姿があったり、店内で注文を受けたりアイスを渡してくれたり、頼めば写真撮影なども応じてくれたりとサービス満点。「寒いなかアイスなど食べにきて物好きなことで…」という思いやりなのでしょうか、待機している人たちにカイロを配るなどの気遣いもありました。

アイス購入の際には松本さん本人から「寒かったでしょう…」と声を掛けていただき、「こんな寒い時期に何故アイス屋開いたんですかね…」と僕もニッコリ。当面は整理券対応をするようなので、先に整理券をもらっておいてから、ご飯でも食べて、デザートでアイスをいただくのがいいかもしれません。通ってきた道沿いには学生向けの食堂がたくさんありますしね。

↓それでは「Darcy's」のアイス、「ココナッツミルクチョコクッキー」と「豆乳焦がしキャラメル」のハーフ&ハーフをいただきます!
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松本さんのオススメも何も、2種類しか味がないんだから両方食べるしかない!

「全部オススメ」です!




ふむ…………。美味しいです。全体的にアッサリして甘味も少ない軽やかなアイスですが、アイスならではの濃厚さもしっかりあります。ナッツやチョコクッキーがアクセントとなって食感も楽しい。普通に美味しくいただけると思います。オープン初日ですし、松本さん手渡しですし、大満足のデザートでした。

ただ、こう言うと身もふたもないですが「やっぱ牛乳と砂糖入ってるほうが美味いな…」というのが二周まわったあとくらいの想い。美味しくないアイスよりは美味しいが、美味しいアイスはもっと美味しい、その中間点くらいかなと思いました。

駅からの距離、特に買い物やらをする場所でもないという食べ歩き需要の低さ、なのに基本はテイクアウト店ということを考えると、まさにこの大学の学生がメインターゲットになるのかなと思いますが、500円のアイスはそんなにしょっちゅう食べるものじゃないと思うので、なかなか店舗としては厳しいのかなという気もします。

それでも、「市販のでは私のニーズにマッチしないんです」という人はたくさんいるはずですので、なるべく早くオンラインショップを始めていくのが成功へのカギなのかなと思いました。むしろ、オンラインショップとか代理店経由での販売が本番で、ベネシード代理店の人が「あの松本薫の野獣アイスですよ!」とアピールしやすくなるのが一番の狙いなのかなと。

その意味では、決して好立地でもなく、休日のオープンでもなく、目立たない入口というのも意図したデザインなのかなと思います。店舗にきてもらうことはそんなに考えていなくて、むしろ店舗で食べる体験がレアであるがゆえに、いつでも手に入る通販なり代理店販売に需要が集まるといったことなのかなと。だから、本番の夏需要が始まる前にオープンしたのかもしれませんね。十分にクチコミと宣伝を広めたうえで、「夏の元気な贈り物にしてください!」という。セカンドキャリアどころか、先の先のサードキャリアくらいまで考えてあるのかなーと、感心せざるを得ないお店でした!


夏までにオレンジ味とかメロン味とか果物系を増やしといてください!

アジア大会柔道の韓国座り込み事件に見る、韓国の「勝ち確カンチガイ」と日本の「負け確的確把握」の圧倒的な差の巻。

08:00
勝ち確と思って煽ってたら負けました!てへぺろ!

「勝ち確」の瞬間ってあるじゃないですか。僕もスマホの対戦ゲームなどでよくやるのですが、ゲームの種類によっては「あ、これは勝ち確」とわかる瞬間があるのです。たとえばカードゲームなどで、こちらの手札から確実に相手を殺し切るダメージを出すことができ、相手にそれを防ぐ手段がないとわかっている、そんな瞬間です。

そんなとき人間性というのが出ると思うのです。僕は「勝ち確」だなと思ったら、時間いっぱい限界まで対戦相手を煽るスタイルです。ワザと無駄な行動をして「生き残れるかも…」と思わせてみたり、倒さなくてもいい敵の兵士をキレイに全部屠ってみたり、残り時間のカウントがゼロになる寸前にトドメのダメージを入れてみたり。とにかく目一杯勝ち誇ってから倒すタイプです。ちなみに負け確と思ったらスマホ放り投げてテレビを見始める遅延クズ野郎(※自分の行動をしないことで相手に無駄な時間を使わせるの意)でもありますが。

そんななか、「勝ち確」と思って油断されてしまわれたのがアジア大会の柔道混合団体韓国選手団のみなさん。準々決勝で日本代表と対戦した韓国さんは、まさに「勝ち確」と思っていました。思いこんでいらっしゃいました。思いこんでいらっしゃった結果、勝ち確だと思っていたのに負けと言われたものですから、伝統の座り込み抗議に発展しました。だって、勝ち確だと思ってたんだもーん!

↓勝ち確定だと思っていたら負けていたので座らせていただきますね!


まぁ、逆の立場なら「不服があるなら畳を出るな」って言いますから、気持ちはわかりますけどね!

畳を降りるとそれで試合結果確定ってされますので!

10分間耐えるのはなかなかタフだなぁとは思いますが!


↓「ロンドン五輪ではフェンシングで1時間座りこんだ我々韓民族にとって、10分間くらい何でもないぞ!」という声が聞こえる!


このときも「ピストを出ると抗議ができなくなる」から座り込みました!

別に座りたくて座ってるわけじゃないんですよ!

そこから出ないで粘るときに「立って待つのはダルいから座ってる」だけです!



柔道混合団体は男女の選手が各3階級に登場し、勝った数の多いほうが勝ち抜けるという仕組み。東京五輪でも柔道競技の種目のひとつとして採用されており、日本代表は昨年の世界選手権を制するなどもちろん優勝候補の一角です。当然「勝ち数が多い方が勝ち」ですので、先に4勝してしまえば勝ち確です。それはもう引っくり返ることはありません。

しかし、6階級という何故か偶数で争われる戦いだけあって、当然「3対3」ということは起こります。7階級ならよほどのレアケース(※両者反則負けとなる試合が発生するなど)がなければほぼほぼ勝ち数だけで決着がつくはずなのに、「男女が同階級でないと…」という建前によって「3対3」が頻発する仕組みにしてしまったのです。そこで3対3のときにどっちが勝つのかということが重要になってきます。

基本線としては、「一本勝ちが多いほう」が勝ちとなります。知らない方もいると思いますので説明しますと、今の柔道は「一本」と「技あり」の2種類のスコアのみとなっており、有効や効果はとっくになくなり、反則の数の差だけでの決着もなくなりました。その点においてはとても明確というか、ハッキリ勝ったと見える選手だけが勝つような仕組みを目指しています。

ただ、もしかしたら勘違いを生んでしまったかもしれないのは、反則3つ累積による「反則負け」は区分としては「一本負け」になるという点。これは別に昨日今日始まったことではなく前からそうなのですが、もしかしたらそこをカンチガイしてしまっていたからこそ、韓国選手団さんは「勝ち確」と思ってしまったのではないかと思うのです。

準々決勝の日本VS韓国戦、日本は女子57キロ以下級の玉置桃がゴールデンスコア方式での延長戦で相手の反則により勝ち、男子73キロ以下級の海老沼匡が一本負け、女子70キロ以下級の新添左季が一本勝ち、男子90キロ以下級の小林悠輔が技ありによる優勢負け、女子70キロ超級の山本沙羅がゴールデンスコア方式による延長戦で反則を犯して負けました。この時点で日本の2勝、韓国の3勝と韓国がリード。しかし一本勝ちの数では並んでおり、最後の6試合目で日本が一本勝ちすれば、「勝ち数は3対3で並ぶが一本勝ちの差で上回る」という状況になります。

最終戦6試合目では、男子90キロ超級の影浦心が相手の反則3つによる反則勝ちをおさめました。これは区分としては「一本勝ち」になる勝ちであり、勝ち数は3対3で並ぶものの、日本が一本勝ちふたつで韓国を上回って勝利となったのです。しかし、おそらく韓国は、反則3つでの勝ち負けが「一本」とカウントされることをわかっていなかったのでしょう。

「わかってなかったんだろうなぁ」というのは先ほどの映像での韓国語のテロップでもわかります。あのテロップには試合結果とそれにともなう獲得ポイントが書かれています。それを見ると1試合目の日本の勝ち試合に「0」、2試合目の韓国の勝ち試合に「10」、3試合目の日本の勝ち試合に「10」、4試合目の韓国の勝ち試合に「1」、5試合目の韓国の勝ち試合に「0」、6試合目の日本の勝ち試合に「0」と入れています。その計算では韓国が11-10で勝っていることになります。

このポイントは「一本勝ちなら10点」「技ありによる優勢勝ちなら1点」「反則の差による勝ち負けは0点」というポイントを配したものなのですが、韓国テロップは6試合目の反則3つによる決着を「0点」扱いにしています。そもそも反則負け=一本負けであることがわかっていなかったわけです。伝える側がそうであるように、選手やコーチ陣も「わしらの勝ちやろ…」と思っていたのだろうなぁというのがわかるテロップです。

しかも、ルールをわかっていない状態で「勝ち確」と思ってしまわれた。6試合目に臨むにあたっては、韓国としてはとにかく一本負けは絶対に避けなければいけない状況であり、また技ありでの優勢負けというのもスコア上並ぶことになるので避けなければなりません。勝ち確などでは全然なく、真剣に勝たねばならないくらい競った状況です。

ただ、「反則負けは0点扱い」とカンチガイしていたとすれば、これはもう「勝ち確」と思ってしまうわけです。とっとと反則を犯して負けてしまえば、勝ち数は3対3で並ぶものの「ポイントは11-10で勝つ」のですから。そう思ってしまわれていたため、韓国の金成民は不用意な反則を重ねて、開始3分で反則負けしています。カンチガイによる勝ち確ルートに全力で突っ込んでしまったんですね!

↓「勝ち確」と思ってとっとと反則負けしたら負けていたでゴザル!


やってしまわれましたなぁ!

まぁどっちみち負けてたとは思いますけど!

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ここで立派だったのが日本側の状況把握の的確さです。事前に首脳陣がルールを確認し、それを選手にも伝えていたそうで、海老沼匡は「あれは韓国の勘違いだと思う」という談話を残していますし、6試合目に出た影浦心は「前の試合のポイントを数えて、自分が一本勝ちしないといけないことはわかっていた。試合時間内(4分間)に決めようと思っていた」と語っています。

この影浦心のコメントは「自分が一本勝ちしないと負け確」ということだけでなく、「延長ゴールデンスコアまで持ち込まれたら、相手が先にワザと反則を犯すことで、ポイントでは0点扱いとなる延長での反則先取ゴールデンスコア勝ちにされる」ことを警戒していたというのが、明確に伝わってきます。日本はルールを把握し、韓国はルールを把握していなかった。その差が、勝ち確煽りの隙をついて、日本の勝利を引き寄せたのです。

↓「試合時間内に決めようと思っていた」の一言に、日本と韓国の圧倒的な状況把握の差が見える!

延長までいったら負け確とわかっていればこその言葉!

見事です!



まぁ、韓国選手団さんは残念でしょうが、ルールがよくわかっていなくても、勝ち確などと思わず一生懸命やっておけばよかっただけの話です。この日はほかの競技では日本をヘコませたものもありますし、大事な大事なトッテナムのソンフンミンさんの兵役免除が決まるサッカー競技での金メダルもありました。柔道で日本に負けるのはいつものことでしょうし、ルール上もカンチガイするようなところじゃありませんので、気持ちよく寝て、早く忘れるといいと思いますよ!


勝ち確煽りしてから負けるとめっちゃ恥ずかしいので、やめましょう!

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婦人公論 2017年 12/27、1/6 合併特大号

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