スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

フィギュアスケート

「羽生結弦と仙台市展 復興とその先の未来へ」を訪れ、心を尽くした展示に感銘を受けつつ自分がメンテナンス期間に突入していた件。

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まさかのコチラがメンテナンス期間!

すっかりタイミングが遅れてしまいましたが、先週末は羽生結弦氏出演の「notte stellata 2026」参加のため宮城県に行っておりました。本来であれば連日意気揚々と感想やら観光レポートやら発信するはずが、パタッと動きが途絶えておりご心配をお掛けしました。「静かで結構」という声もあるかもしれませんが、気にしてくださっていた方にご報告しますと、体調不良で寝込んでおりました。

7日の公演初日を終えたあと宿にインしたあたりから雲行きは怪しくなったのですが、どうも遠征以前から立て込んでいた連日の疲労と、遠征自体による疲労と、交通費倹約による長時間の寒空での待ち時間などあったなかで、動画編集やら感想文執筆やら始めたことでの寝不足、そしてトドメのように襲い掛かる宿の猛烈なタバコ臭による完全不眠、そこから寝ずの観光強硬で、すっかり体調を崩してしまったようなのです。

そんな有様で帰京後は寝込んでおりましたが、ようやく落ち着いてまいりましたので、繰り延べていた観光部分の記録などしていこうと思います。この遠征でもうひとつ大きな目標として思っておりました、仙台市主催によるイベント「羽生結弦と仙台市展 復興とその先の未来へ」、こちらを拝見してまいりましたので、本日はそのまとめです。

↓動画でもまとめておりまして以降の記事と大体同じなのでお好みでご覧ください!




会場は日本のフィギュアスケート発祥の地・五色沼にほど近い、国際センター駅にある青葉の風テラスというイベントスペースです。かねてより、こうした羽生氏関連の動きに合わせてさまざまな企画が実施されてきた場所ですので、界隈にもすっかりおなじみとなっております。僕も何度目かの訪問になりますが、まずはこたびの訪問にあたり当地にあるフィギュアスケートモニュメント様を詣でまして、ご挨拶からスタートします。

↓こんにちは!今日はよろしくお願いします!
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展示は1階インフォメーションコーナーにあるフリー入場スペースと、事前予約制による2階イベントスペースでの展示とで構成されており、さらに屋外の駐車場にて物販ブースが展開されていました。notte合わせでたくさんの来訪者があったことを鑑みてか、事前予約制の展示スペースについて当日入場受付も実施するなど柔軟な運営姿勢となっており、駅内には当日入場を目指す人たちの長い列などもできていました。さすがの人気ぶりです。

まずは1階の展示から拝見していきます。こちらは写真の比重は少なめで、衣装・靴、関連工芸品、「ただいま仙台」動画、パレードの際の装飾品など羽生氏と仙台市ほか各地域で紡いできた絆がさまざまな形で展示されていました。大半の展示が撮影可ということで、フリー入場とは言っても大変充実の内容です。

↓入場口には羽生氏からのメッセージボードの展示が!
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何と言っても目を引くのは「悲愴」の衣装展示。衣装そのものもとても美しいのですが、今回はこの展示にあたって株式会社ハナサクさんがフラワーアートで衣装展示をさらに美しいものへと仕立ててくれておりました。まるで打ち寄せる波のしぶきのような青と白の花、そこに立つ悲愴。海に寄らずとも「この日」の意味を改めて噛み締めるような展示となっております。こちらは駅内を行き交う人からもよく見える、むしろ通行するときに一番よく見えるようにインフォメーションコーナー端に外向きに据えられており、きっとたくさんの人の心に届くことでしょう。普通なら大事なものは何となく一番奥に置いてしまうものですが、展示を作る側の人たちも思いを致す深さが見事だな、と思いますよね。

↓行き交う人を悲愴様が見守る!
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↓足元のフラワーアートと一体で完成という展示でした!
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悲愴様の横にはスケート靴の展示が。こちらも通行する人からよく見えるように据えてあります。普段は八戸のリンクで展示されているものが、この展示のために特別に貸し出されたという絆を感じる品です。2011年4月17日の日付が手書きで記された靴には、往時の初々しい羽生青年によるメッセージが残されています。「ありがとウサギ(笑)」をじっくり見ることができて大満足です。素敵な絆がポポポポ〜ン!

↓内側のメッセージが見やすいように展示されていました!
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↓2011年の羽生青年が頑張りつづけたことでこの未来がある!
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そのほか1階では東北工芸製作所さんと仙台平さんによる各種の工芸品が展示されていたほか、2018年の2連覇パレードで車両装飾に用いられたプレートの展示などが行なわれていました。スガシカオさんからのお花も飾られており、そこまで広いスペースということではありませんが選りすぐられた展示物によって、来場者も満足気な様子です。

↓仙台市との絆で生まれた工芸品の数々!
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↓来場者限定で名刺入れのオンライン販売も!これは新社会人への贈り物にピッタリ!
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↓スガシカオさんからお花をいただきました!
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さて、つづいては2階の展示スペースへ。こちらがメイン会場という佇まいで入口にはこのイベントのロゴの掲出や、大型の壁面装飾なども施されています。能登直さん撮影による各種大会やこれまでの軌跡を辿る写真展示が中心となりますが、こちらにも目を引くお衣装様の展示が。何と、国民栄誉賞受賞の際と、2022年紅白歌合戦でのゲスト審査員の際に着用した羽織袴がそれぞれ展示されているとのこと。人の流れに乗って、写真展示で時の流れを追いながら、美しい羽織袴に存在を感じる…大変ありがたい機会でした。

↓限定スペースに入場します!
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↓大型の壁面装飾がお出迎え&お見送り!
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↓天井には瑞鳳殿さんから寄せられた七夕吹き流し!
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↓そしてこちらが国民栄誉賞の仙臺平様!
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そんななか大トリとして待ち構える紅白歌合戦着用の羽織袴にはひときわ大きな人だかりができています。どうやらたまたまこのタイミングで、展示品の着付けをされている有限会社福壽さんの方が居合わせたようで、即席の講演会のような舞台裏トークなどをされていました。今回の展示では紅白歌合戦着用の羽織袴の裏地…額裏を見せてくれていたのですが、その展示にあたっては裏地が品よく見えるように、羽織を広げ過ぎず、さりとて裏地が隠れないよう、大変工夫をされての展示なのだとか。

よく見れば羽織の裾あたりからより合わせた金の糸が伸びており、ほんのりと羽織をはだけるように引っ張るようにして展示されております。これによって裏地に描かれたSEIMEI調の紋様や、そのなかに飛ぶ「勝ち虫」としてのトンボなどが来場者からもハッキリ見られるようになっておりました。さらに展示ケースの背景部分にはおめでたい紙吹雪のように金の飾りが施されており、何だか年の瀬のお祭り気分が甦るようです。

↓こちらが紅白歌合戦様の展示!
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↓注目は羽織の裏地とのこと!
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↓ほんのりと前をはだけるように据えられた羽織!
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↓額裏には「勝ち虫」の蜻蛉が飛んでいます!
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この展示会を実り多いものにしようと、羽生氏本人をはじめ、各所のご協力による品物の収集と、それをただ置くだけではなく魅せる展示に仕上げようとする情熱、そういったものをたくさん感じられるイベントでした。各時間帯ごとの入れ替えのタイミングでは、運営スタッフさんから「羽織袴の展示を先にご覧になるのがおすすめです」みたいな有益アドバイスもされており、しっかり・たっぷり・楽しく見てもらおうという心遣いがとても印象的でした。

ひとしきり展示を堪能したあとは、屋外の物販ブースにてコレクションしているクリアファイルなど記念に買い求めまして、充実の観光となりました。遠征前の想定としては、ほかにもあれこれ巡るプランなどもあったのですが、このタイミングでしか見られないミッションだけでも達成できたのはとてもよかったなと思います。11日は「news every.」生中継での鎮魂の舞披露などもありますので、15年目の当日にまた希望と再生への祈りを強くできればいいなと思います。毎年、思いを新たにできること、楽しみながらそれができること、忘れないように努めずともずっとつづいていられること、そんな時間をこれからも大切にしたい…などと思いつつこの日を過ごそうと思います!

↓素敵な展示会をありがとうございました!
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それぞれが「自分の震災」を思いつづけることが、明日の希望につながるはず!

羽生結弦氏の進化の凄さに置き去りにされつつ、また新しい喜びと思い出を重ね「この日」が大切になったnotte stellata 2026の巻。

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15年の時が生み育んできた喜びたち!

行ってまいりました「notte stellata 2026」。メンテナンス期間を経た羽生氏と久々の再会となるということもあって、いつにも増して盛り上がる界隈の熱気。それは現地に近づくにつれて高まる一方で、お祭りのような、パレードのような、嬉しい時間となりました!

↓全体的に駆け足になるので散策部分の詳細は動画でご覧ください!




東京駅のnotte神殿を詣でてから一路新幹線で仙台へ。車中では僕を含めて同列全員お仲間という奇跡も起きていたりして、早くも気分は高揚しています。聖地・仙台につくとそこはもう祝祭のようなムードも。駅構内ではhuluでの配信を告知する映像が大型ビジョンや各所のサイネージで上映されており、それを撮影しようとカメラを構えるお仲間の姿などもあって、行き交う人に「今日は羽生選手の何かがある日なんですね」という賑わいが伝わり広がっていきます。コンビニでは「特集の新聞を大量に置いておきます!あとプーさんの天然水をどうぞ」という、完全に仕上がったサービスなども展開され、さすが聖地といった盛り上がりです。

しかし、そんななか大トラブルが。何と、折からの強風によって仙台駅周辺のほとんどの路線が運行休止・遅延といった状態になっていたのです。いつもであれば路線バスの倹約旅などと称して、利府駅から路線バスで会場へ向かうのですが、その利府までの電車が動かないと来たもんだ。動かないものは仕方ありませんので、シャトルバスあるいはタクシーを検討しつついろいろ調べておりましたら、動いている路線から本塩釜駅経由で何とか会場に近づけそうなルートが見つかりました。ちょっと乗り換えの空き時間などが長くなりそうですが、こんな強風の折ですので開演までに辿り着ければヨシとしましょう。

本塩釜に降り立ちしばし乗り換え待ちなどしている間、近隣を散歩しておりますと、歩いていける範囲に東日本大震災のモニュメントがあるとのこと。いい機会を得ましたので、そちらを拝見しに行きますと、すぐ目の前には海が広がっています。ふっと連鎖的につながる出来事と思考。強風という自然の猛威にさらされながらも、何とか乗り越えていこうじゃないかという頑張りと、そしてその結果として震災のモニュメントや海を訪れる時間を得たこと、何だか神様に導かれたような気がするトラブルだったなと思います。「忘れたわけじゃないだろうけれど、海を見てから行ったらどうだい」という、そんなことだったのかなと思ったりしました。想いを新たにするような時間でした。

↓この波模様の高さの津波が襲ったとのこと!
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↓海は青く、空も青く、美しく輝いていました!
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素敵な回り道をしつつ辿り着いた会場現地はすでに大変な賑わいとなっており、開場を待つ列も出来上がっています。列に並ぶ人はひととおりの体験は済ませた勢なのでしょうが、それでもまだまだ各ブースには人だかりができています。フードやグッズには長い行列ができ、東和薬品さんのブース出展や出張輪島朝市などの出店が並ぶサブアリーナは入場規制が掛かっているほど。うむ、出遅れたぶんを挽回せねばと、僕も駆け足で巡っていきます。

まずはグッズ売り場にて、現地で買おうと決めていた懐中電灯ペンライトほかをゲット。このペンライトは公演の演出でも使うとのことで、グッズ売り場での販売はもちろん、ペンライトだけを販売する特設ブースがあったり、サブアリーナや会場内でも販売されていたりしていました。持ったほうが絶対に楽しいとは思っていましたが、その楽しみをうっかり取りこぼすことがないようにアピールしてくれる運営側の心遣いも眩しく輝いていたなと思います。これだけ推してくれたら間違いないですよね。

その後はアイリンショップさんでお買いものなどしつつ恒例のメッセージボードを拝見したり、冠スポンサーの東和薬品さんのブースで体験型フォトスポットに参加したり、サブアリーナ内に展示されていた昨年の公演のメンバーによるサインを拝見したりして過ごします。かなりせわしない散策でしたが、東和薬品さんの運営スタッフさんが大変手際よく、みなが戸惑ったり手間取ったりしないように導いてくれたので、爆速でフォトスポット体験までたどり着かせてくれたのはお見事だったなと思いました。ご報告までですが、最近使っている薬、東和薬品さんのにしました!

↓会場では羽生氏看板シリーズがお出迎え!
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↓東和薬品さんのブースでは、シールを貼ってみんなでフォトスポットを作りました!
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↓フォトスポットに参加したらステッカーをいただきました!
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↓あれからもう1年とは時の流れが速い!
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そんなことでもう開演時刻が迫っておりましたので、僕も場内へと移動します。入場口前には羽生氏と対談などでご縁のある慈眼寺の塩沼亮潤大阿闍梨さんと、この公演ではフィナーレで「希望のうた」を演じることが恒例となっているMISIAさんからのフラワースタンドが届いています。こうしたご縁が大切につづいているのは、ありがたいことだなと思います。

場内に入れば、すでにスタンドは大観衆で埋め尽くされています。公演中以外は撮影も可という仕切りですので、早速ステージなど撮影するのですが、例年だと流れ星がキラキラ光っていそうな大型ビジョンが黒地に白文字で公演名を記すようなスタイルに。今年はシンプルなんですかね…と思ったのですが!、おっとまだこれから体験される方もいるでしょうから、一旦伏せておきましょう。何というか「あの日、満天の星を見たときの気持ち」が少しわかったような気になりました。とても美しかったです。

↓さぁ羽生氏と再会!notte stellata 2026開演です!
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そして始まったnotte stellata 2026。メンテナンス期間を過ごしてきた…とは知っているわけですが、開幕の「Notte Stellata」から動きの凄さは鮮明です。スピードが増し、ツイズルやスピンの鋭さが増し、身体全体の力強さや躍動感が漲っています。コンディションを万全整えてきたということもあるのでしょうが、根本的なベースの部分がパワーアップしたかのような印象。少年漫画の主人公が「新章」を迎えて飛躍的にチカラを増して再登場した、そんな動きです。

公演全体は例年以上に希望を強く感じるものでした。もちろん15年が経ったからといって何もかもが復興したわけでもなく、失われたものは失われたままではあるわけですが、悲嘆に寄り添うよりも未来へ進んでいく力強さを覚えるような時間でした。その中心にいたのが、今回のスペシャルゲストである東北ユースオーケストラさんの存在によるところだったかなと思います。

このnotte stellataではこれまで内村航平さんであったり大地真央さんであったり野村萬斎さんであったりと、フィギュアスケートとは異なる世界のレジェンドと羽生氏との共演というのが大きな話題となってきました。その点で、東日本大震災の被災三県(岩手県・宮城県・福島県)を中心に、小中高・大学からの「子どもたち」で編成されたオーケストラというのは、レジェンドコラボとは少し趣が異なるところです。誕生のきっかけというところで世界の坂本龍一さんが携わっているとのことですので、これまでの文脈に強引に乗せるなら「羽生結弦×坂本龍一」などと言えそうな建付けと言えなくもないこともないわけではありますが、そうではなく、この「子どもたち」のオーケストラであることに、強い意味と、強い希望とを感じ、感極まるような時間になる、それがnotte stellata 2026の一番の輝きだったのだなと思います。

まずオーケストラのみによって演じられた「Merry Christmas, Mr. Lawrence」そして第1部最後に羽生氏とのコラボで演じられた「Happy End」。ともに坂本龍一さんの楽曲ですが、どちらもどこか物悲しさを漂わせています。戦場のメリークリスマスはもちろん戦火のなかの情景を描いた映画作品ですし、「Happy End」もタイトルとは裏腹に「別れ」を強く想起させるような曲想です。その「Happy End」に臨む羽生氏は、黒い放射状の紋様をあしらった白い衣装で、まるでコンテンポラリーダンスかのような、フィギュアスケートの定番の動きとは大きく異なる舞を演じています。あえてラフに整えた髪型なども含めて、白く、無垢で、素の心をさらけ出すかのような雰囲気。

深い踏み込みと、これまで以上の可動域を使いこなす関節、それでも揺るぎない下半身、体幹。何故かその動きには優れたボクサーのボディ打ちを思い出しました。この動きなら身体が視界から消えて当たるだろうな、と。スピンやツイズルの間にも上下動する姿や新たに取り入れたと思しき身体の各所の動きは、これまでの多くの演目を見てきた目からしても新鮮で、フィギュアスケートという概念すら超えていきそうなものでした。これは本当に氷上で演じてるものなのかと、目を見張ります。珍しく足首が見えるタイプの衣装ということもあって、スケート靴じゃなく素足で演じているんじゃないかと思えてくる瞬間も。演技冒頭からつづく倒れ、起き上がり、沈み、立ち上がるような繰り返しは、もしかしたら痛みと再生というか、これまでも繰り返し演じられてきたもののさらに新しくなった表現だったりするのかなと思いました。

そして、40分間のゆったりした中入りを経て迎えた後半第2部。第2部冒頭では再び東北ユースオーケストラさんとの共演で、シェーリーン・ボーン・トゥロックさん、鈴木明子さん、宮原知子さん、無良崇人さん、田中刑事さんによる「リトル・ブッダ」こちらも坂本龍一さんの楽曲が演じられました。輪廻転生を思わせる楽曲と、浄土に咲く花で満たされたような場内、動きを止めたスケーターたちがひとりまたひとりと動き出して始まる演技は、これもまた痛みと再生なのだろうと思いました。ただ、それは第1部にあった戦火のなか・痛みのただなかという表現でも、物悲しさ漂う「Happy End」の表現でもなく、新しい花が咲き誇るような、より「再生」にフォーカスを当てたもののように感じました。

そして、第2部のクライマックスにあたる羽生氏とのコラボ演目「八重の桜」は、同じく大河ドラマから生まれた「天と地と」を思い出すような和風の衣装に、桜咲く山並みのような紋様が描かれ、まるで春のような装いです。大河ドラマの題材となった新島八重さんは会津藩の一員として幕末の会津戦争に加わり、ジャンヌ・ダルクになぞらえられるような奮戦も見せた方なのだそうですが、明治の世になってからは今度は学問の世界で大学の創設に携わったり、さらに日清・日露戦争の時代には看護婦として救護にあたったり、社会のなかで長く幅広く活躍されたとのこと。その人生が何だかこの公演の大きな流れに重なるようで、戦い、傷つき、何かを失ったあともまた人生はつづき、そこで新たに再生する力強さや輝きがあって、世界は進んでいくということを思いながら見守る時間となりました。拍子木が鳴るのと、羽生氏の動きがリンクするとき、それが鼓動のようで、新たに息づく命を感じてみたりして。

そんなことを思いながら、今ここに東北ユースオーケストラさんがいることの素晴らしさのようなものに感じ入っていました。このオーケストラはあの震災のあとに生まれ、「子どもたち」によって編成され、なかにはもう直接の震災の世代ではないメンバーも加わっているという、新たに生まれた「喜び」です。レジェンドと呼ばれるほどの時間はまだ得ていない、生まれたばかりのオーケストラですが、それがこのように人々の心を揺さぶるものを生み出した。それこそが「再生」を何よりも強く感じさせる出来事だったように思いました。過去からつづいてきたものではなく、新たに生まれたものがここまで育ってきた、荒れ地に生まれた芽が花咲く木に育ったようなそんな感慨深さを覚えるのです。

命に限りがあるものは、誰もが永遠ではないけれど、無限の時間は持っていないけれど、想いをつなげていくことで、それは生きつづけ、難度でも甦る。輪廻転生のような、季節がめぐるような、春にはまた花が咲くような、そんなことを思いました。この公演は羽生氏がいるからこその公演として始まったものかもしれませんが、いつかこの想いごとつながって、受け継がれて、何度もまた花咲かせていくような、そんな未来をも想像しました。過去へ思い致す以上に未来に想いを馳せる、そんな気持ちになった2026年のnotte stellata、またひとつ大切な時間を積み重ねて、またひとつこの日が特別なものになるような気がしました。

公演全体については一度スタンドから見たのみという状態なので、また改めて公演全体を見返しつつ、堪能していければと思います。ちょっとメンテナンス後の進化がいろいろありそうで、現地よりも配信やライビュのほうが発見が多い気もしつつ、ただ観光やらのミッションもいろいろあってそちらもこなしたいので、いつ進化を追いかけられるんだという感じですが、公演は始まったばかり、お楽しみはまだまだこれからだ、そんな気持ちでじっくり反芻していければいいなと思います。「この日」を大切に過ごすことが、これからもつづいていけばいいなと思いながら、引きつづき遠征を楽しんでいきます!

↓終演後に見たこの光景は、未来へ伸びる希望の光のようでした!
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またこの日が大切な日になりました!

そんな日々がずっと重なっていきますように!



完全に余談ですが「椅子ってあんなに滑るんだな」って思いました!

羽生結弦氏再始動への熱気を高めるべく、東京駅に顕現したパワースポット「notte stellata 神殿 2026」を1柱ずつ詣でてきた件。

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時は動き出す…!

ついにこの日がやってまいりました。メンテナンス期間を終えた羽生結弦氏との再会の時が。きっと何かがあるだろうとだいぶ前から宿を抑え、招集に備えていたこの週末、待望の、望まれる通りの、「notte stellata 2026」開催を迎えることができました。忘れてはいけない日が忘れ得ぬ日になり、やがて一年のなかでもひときわ訪れを待つ日になる、それもまた15年の時とともに過ごした復興なのかなと思います。大いに楽しみ、大切な時間を層のように積み重ねて、思い出を築いていけたらいいなと思います。

↓ノッテの皆さま、今会いに行きますからね!

ミラノ帰りの方もいるようですね!

ミラノ帰り感がすごい出てますね!

五輪でさらに募ったフィギュアスケートへの飢餓感、迸らせていきます!



さて、そんな遠征を前に、自分のなかの熱気を高めるべくパワースポットに行ってまいりました。東京駅八重洲南口改札付近に現れたnotte stellata神殿、こちらをお参りしてきたのです。以前も同じ場所に同じように神殿が現れたことがありましたが、あのときも大変大きなパワーをいただいた記憶があります。今回も全身にパワーを浴びる所存で向かったわけですが、いやー、メンテナンス期間の間に忘れていましたよね。あそこは東京駅のなかでも猛烈に人が行き交う場所だということを。

新幹線に乗る人降りる人、京葉線で千葉方面(ディスニーとか)に向かう人帰る人、単に東京駅で降りる人乗る人がスクランブルしながら行き交い、早朝か深夜にでも訪れないと撮影チャンスなどない場所なのでした。出勤前の時間にのんきに訪れてみれば、そこは東京の大動脈そのもの。人人人人人人人人人人人人。「広告効果はバッチリだから…(震)」などと言い張りながら、神殿柱を1本ずつお参りすることに活路を見出すほかありませんでしたよね。柱1本ずつでさえ、人と重ならないタイミングがほとんどないんですから。

↓数本に通行客が重ならないタイミングを探るだけでも至難の人混み!
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↓3種類のデザインを一望できる瞬間を狙うのは針に糸を通すような繊細さ!
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↓柱も見放題になるプランはありませんかね!
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そんなことでじっくり1本ずつお参りしていく僕。周辺には同じように巡礼をしているお仲間もいますが、皆の心が「こりゃ1本ずついくしかないな」で揃っているので動きもスムーズです。「それではお先に」「お次どうぞ」みたいな連動して動く組織的戦術でもあるかのように、ひとり、またひとりとスムーズに詣でていきます。

神殿柱のデザインは3種類。公演メインビジュアルとして公式サイトやポスターでもしばしば見かける横向き羽生氏に花が降り注ぐものと、コンセプトフォトとして公開された正面向き羽生氏に花が降り注ぐもの、そして文字情報です。1本の柱を巻くように表裏両面に揃いのデザインが施されているので、お参りもしやすい感じになっています。

ただ、生まれ持っての方向音痴のせいもあるのか、3本くらい詣でて柱に囲まれた中央地帯に入ると、自分が今どこまで撮っていて次はどこに向かうのかがわからなくなってくるから不思議です。この感じの神殿柱が1000本くらい立っている館でもあったら、途中で方向感覚を見失ってしまうじゃなかろうかと思いましたよね。「どっちに進んでも羽生氏!」「どこを見ても羽生氏でどっちに進めばいいかわからなくなった!」「ん?でも別に進む必要もないか…素晴らしい眺めだし…」みたいな感じで、足を踏み入れたものを虜にするシステムとか導入していただいてもいいかもしれませんね。あとで写真やら動画やら見ながら振り返りましたら、大体下のような感じになっていたんだなと遅まきながら理解しました。この並びの下から上に向かって、1列ずつ詣でてまいりましょう。

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↓ということで1柱ずつお参りしていきます!
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↓実際の神殿の雰囲気などは動画でご覧ください!


隙あらば抱き着きたいところですが、隙はありませんでした!

遠征からの帰りが夜中になったら検討します!



そんなことでパワースポットを巡りまして、心と身体を動かしながら、遠征・公演へ向けての気持ちをグッと高めることができました。遠征に出る日は新幹線に飛び乗る感じになるでしょうから(ギリギリまで寝るの意)、神殿には会釈する程度になるかもしれませんが、あらかじめパワーを充填することができて備えはバッチリです。

最近はめっきりチケット運が消え失せ、「REALIVE」はいまだ純カラという状態の僕ですが、何やかんやでまた新しく見るもの行く場所も目白押しとなっており、この遠征だけでは見終わらないんじゃないかというくらいの忙しい旅になりそうですので、何なら純カラ状態のままでもREALIVE遠征計画を用意してもいいかもしれないなとちょっと思い始めました。最後の最後の最後に追加席が出たりっていうパターンも、世のなかにはあるわけじゃないですか。予定を決め過ぎず、最後まで自由度を保って挑戦をつづけていれば、最後にいいことがあったりするかもしれないよなと思いますものね。

それに、前々からチケットあったら行くのも来るのも当然って話になりますが、チケット純カラなのにまだ行こうとしてるとかワンチャン来そうになってるとかしてたら、そんな自分にちょっとワクワクするかもしれないですからね。僕、人生で「来ちゃった……」を言われたことないんですが、「え?約束もしてないのに来ちゃったの?」という熱意にはちょっとほだされる部分もあります(←まぁ実際は急にこられたら居留守使うんだけど…)。ノッテを楽しみつつ、REALIVEの抽選を待ちつつ、そこでどうなってもまだチャンスを追いかけていく、そんな熱さで向かっていきたいもの。まずは今年1回目の宮城・仙台へ、行ってまいります!(←すぐ2回目があると信じる強い気持ち)

↓ちなみに前回のノッテ神殿はこんな感じでした!



↓昨年はホームへ向かうエスカレーターでお見送りがありましたね!



現地に行かれる方、映画館やhuluでご覧になる方、ともに楽しみましょう!

涙の銀!日本女子シングルでは初となる五輪ダブル表彰台の上で、最後まで笑顔を守った太陽のような坂本花織さんに感謝するの巻。

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日本の太陽に涙の銀!

いよいよ最後の週末に入ってきたミラノ・コルティナ五輪。そのクライマックスにふさわしい、尊い競い合いが繰り広げられました。フィギュアスケート女子シングル、素晴らしい演技たちがつづくなかで、坂本花織さんが銀、中井亜美さんが銅、そして千葉百音さんが4位と、日本勢が上位にズラリと並びました。素晴らしい演技、素晴らしい試合でした。誇ってもらえたらいいなと思います。




迎えたフリープログラム。ショートプログラムで上位発進となった日本勢はいずれも最終グループでの登場となりました。最終グループを迎える段階でトップに立つのはアメリカのアンバー・グレンさん。ショートプログラムではジャンプの要素抜けなどがあり、70点台に乗せられず13位と出遅れていましたが、フリーではトリプルアクセルの成功などで盛り返してきました。何かとザワつきが多い今大会のアメリカにあって、強い心を示す演技。ショートとフリー、ふたつのプログラムで競うからこそ生まれる悲嘆と雪辱だったなと思います。最後に歓喜の叫びとガッツポーズが見られて、よかったなと思います。

最終グループ、まず登場したのはジョージアのアナスタシア・グバノワさん。団体戦ではメダル獲得を目指してショート・フリー両方に登場したというなかで迎えた個人の種目ですが、もしかしたらその過酷さが少し出てしまったのかもしれません。完璧な演技とはならず順位を下げます。ロシアからの中立選手として出場のアデリア・ペトロシアンさんも、冒頭の4回転トゥループが転倒となり、本来の演技には至りません。ショート、フリーともに出来得る最高の構成にはしてきませんでしたが、仮に構成を上げてきたとしても、立場的にも経験的にもチカラを出し切るのは難しかったかなと思います。「出られた」、それ以上を望むには堂々と出られるような世界に戻すこと、選手の頑張り以外のものが求められるでしょう。

残る演技者は4人、そしてそのうち3人が日本勢。まず、日本勢から最初に登場したのは千葉百音さん。初の五輪とは思えない落ち着きぶりで、直前の採点に時間が掛かるなどややナーバスになりかねない状況にも乱されるところはまったくありません。見た目の印象にはとても美しい演技で、初の五輪をノーミスで演じ切りました。ただ、速報の技術点と最終スコアにはやや乖離が。コンビネーションジャンプでqマークの回転不足を都合3回取られており、速報値の77点台から74点台までマイナスされました。全体的に採点が辛い傾向のある大会と感じますが、僅差で競う拮抗した大会でもあるので、辛くならざるを得ないのかなと思います。それでも千葉さんは演じ終えた時点で暫定トップに立ち、残る3人の演技を待ちます。初の五輪で堂々のメダル争いです。

そして、日本勢最大のライバルと目される、今季GPファイナルの女王、アメリカのアリサ・リウさん。かつてはトリプルアクセルと4回転を駆使するジャンプで知られたスケーター…いわゆる「天才少女」でしたが、一度の引退を経たあと、スケートの完成度を高めることを追求し、今大会は団体戦を含めてトリプルアクセルも含まない構成としました。音楽のチカラ、演技の美しさ、弾ける笑顔、あがる大歓声。場内の空気を途切らせることなく、熱狂を加速させていくような演技は、明るくて強くて華やかで「これぞアメリカ」というもの。ジャッジにGOE+5を連打させたまったく軸のブレないレイバックスピンから、天高く一本指を突き立てるフィニッシュは、すごい盛り上がりでした。エンジョイフィギュアスケートでした。ジャンピングハグが出るのも納得の演技です!



この熱狂のなかで自分の演技を貫けるのは、この人、坂本花織さんしかいなかったのではないかと思います。一番苦しいタイミングを一番強い人が引き受けてくれた。それは偶発的なものですが、日本にとってはまたも坂本花織という太陽に救われた瞬間だったと思います。引退を表明し、これが最後と決めて臨む五輪の演技。愛の賛歌ほかに乗せて演じるファイナルの演技は、坂本さんらしいものでした。大きくて流れのある世界一のダブルアクセルで「これが坂本花織だ」とリンクの支配を奪還すると、不動の軸で貫くスピン、壮大なステップシークエンス、ジャッジの心深くまで飛び込むトリプルサルコウ、どの要素も高い加点を積み上げていきます。

惜しむらくは演技後半最初のコンビネーションが、トリプルフリップの着氷こらえで繰り返しのジャンプとなったことくらい。余ったコンボを最後のトリプルループにつける選択肢もあったと思いますが、その1.5点とかを取りにいくことよりも、坂本さんはこの演技の完成を目指しました。もともとの構成を知らなければ、どこに予定と異なる箇所があったかもわからないような美しい演技。本人は朗らかな笑顔ではなく、泣き出しそうな笑顔で演じ終えましたが、観衆は立ち上がって笑顔と大歓声を贈っています。今日だけではなく、坂本花織というスケーターのすべてに対しては、お祝いも労いも別れも笑顔こそが似つかわしい、そんなことを思います。




この大会を締めくくるように最後に登場したのは中井亜美さん。ショートの弾ける笑顔から連続するように笑顔で滑り出した中井さんは、冒頭のトリプルアクセルを見事に成功!トリプルルッツからのコンビネーションでセカンドジャンプが2回転になるなど耐える場面もありますが、初の五輪で、最終滑走という重圧のなか、金メダルを狙って躍動した17歳に眩しさ以外のものなどありません。最後のキュートな決めポーズで演技を終えた段階では、速報の技術点もこれまでのトップに立つ78.06点を示していました。かつて見られなかった夢が、一瞬心によぎるような演技でした。

ただ、まぁ、辛いなというか、厳格だなというか、オフィシャルのスコアを見ているとそこからグングンTESが削られていきます。後半のコンビネーションジャンプふたつに、エッジの「!」とqマークが2個つき、最終のTESは72.53点まで下がりました。この素晴らしい演技が結局フリー単独では9位となるだなんて。正直納得がいかない。スコアが出たのに中井さんが無反応だったときには、これは怒りの抗議活動でもせねばならんかと奮い立ちましたが、それは「どこに順位が出るのかわからなかった」のだそうで、自分がメダルだと理解したあとは跳び上がって喜んでくれたので一安心。金メダルを決めたアリサ・リウさんもお祝いにきてくれて、嬉しいメダル獲得となりました!



中井さんが嬉し涙を流すなかで、金を目指してきた坂本さんも止まらない涙を拭っていました。金を目指してきた人が銀なのですから悔しさがないはずがありません。この日の演技にも満足はできていないでしょう。本人が意図したとおりの、磨いてきたとおりの、完璧な演技は残せなかった。わずか1.89点差の最終スコアを見れば、無限にタラレバも浮かぶかもしれません。

それでも、最後まで笑顔でいようと、止まらない涙を隠せないまま、笑顔を見せつづけた坂本さん。坂本花織は女子シングルを救った光であり、日本フィギュアスケートの、いや世界のフィギュアスケートの太陽でした。前回北京五輪、4回転を駆使するロシア勢を前に挑む前から「絶望」の言葉が飛び交うなかで、自分の演技を極めて銅を獲ったこと。その後の暗澹たる世界を思えば、あの銅は女子シングルにとって金にも等しいメダルでした。この種目を守り、照らす光でした。

それから4年、世界をリードしてきた坂本さんはみんなの太陽だった。明るかった。あたたかかった。頼もしかった。この五輪の開幕を迎えてからも坂本さんを見ない日はありませんでした。団体戦に始まり、各個人種目、そして自分自身の種目と、毎日いるんじゃないかというくらいにリンクやスタンドに坂本さんの姿がありました。誰かが苦しいとき、誰かが落ち込んだとき、その傍らで励まし、元気を分け与えていたのは坂本さんでした。自分のことだけでも大変なはずなのに、自分に対してする以上の熱量で、みんなのことを見守っていました。

銀の表彰台に乗った坂本さんは、精一杯の笑顔を見せながら、金のアリサ・リウさんが上手にぬいぐるみをセットできるようにサポートしたり、通例では銅メダルの選手が担当することが多いオフィシャルの表彰台自撮りも買って出て、自慢の撮影テクニックを見せていたりしました。目に入る誰かに手を差し伸べずにはいられない、そんな人となりが、最初から最後まで坂本花織だったなと思います。

試合後のインタビューにあった「銀メダルで悔しいと思えるくらい成長したのかな」の言葉は、スケートについての振り返りなのでしょうが、人としても大きく大きく成長してこの日を迎えたのではないでしょうか。坂本花織は日本の、世界の、頼もしいリーダー、太陽だったと思います。引退を迎えたあとも、何をするにしてもまたみんなの中心にいて、たくさんの人をあたたかく照らす、そんな存在でいてもらえたら嬉しいなと思います。

すべてを終えて今何をしたいかと問われたとき、「今は、相当悔しいので、泣きたいと思います」と答えた坂本さん。もうずっと泣いていたわけですが、それは満杯のコップから水がこぼれていただけで、この舞台を去るまで笑顔を頑張って作ってくれていたのだろうと思います。なので、最後は自分を労わってあげてほしいなと思いました。氷の上じゃなかったら、胴上げでもしたいような、そんなカーテンコールだったと思います。ありがとうかおちゃん!かおちゃんのいるスケートは、とても楽しかった!

↓たくさん泣いたあとは、笑顔のエキシビションお待ちしています!




これは中継内で主に4位の千葉百音さんに向けられていた言葉ですが、自身も平昌五輪で4位となった宮原知子さんがこんなことを言っていました。「やっぱりもうあと一歩でメダルっていう順位であることに変わりはないので、もっとできたんじゃないかって思う気持ちは、もちろん消えないですけど、でも順位以上に大事にすべきものってあると思うので、今は悔しいかもしれないけど、そういった頑張ってきた自分っていうのは認めてほしいです」という言葉、千葉さんだけでなくたくさんの人に通じる言葉だと思います。たくさんの悔しさとやるせなさを抱えた人が、自分を労るきっかけになるといいなと思います。順位は大事だけれど、僕らも順位だけを愛しているわけではないので、何位であろうがかおちゃんはかおちゃんで、いつだって最高に輝いている、そう思います!


悔しくて辛くても、笑顔を守った太陽のようなかおちゃんに感謝!

ふたりの出会いに感謝!フィギュアスケートの歴史に宇宙一の演技を刻んだ、三浦璃来/木原龍一「りくりゅう」ペアの強く尊い金の巻。

18:00
1+1を158.13にした金!

新たな歴史の扉が開きました。すでに日本勢にとって歴史的な大会になりつつあるミラノ・コルティナ五輪に打ち立てられた金字塔、フィギュアスケートペア三浦璃来/木原龍一組、「りくりゅう」ペアによる金。しかもフリー世界歴代最高得点となる158.13点をマークしての金。ロシア勢の不在など些末なこととかき消し、今ここに史上最高の演技があることを高らかに示しての金。歴史的な金になりました!




世界一のチカラを持ってりくりゅうペアは五輪にやってきました。世界選手権を二度制し、今季はGPシリーズ連勝からのグランプリファイナルも制覇。四大陸選手権を制したキャリアとあわせて、五輪制覇によるゴールデンスラム達成に手をかけるところまでやってきていました。「獲り得る」ではなく「獲るべき」まで自分たちを高めてきていました。

しかし、それでも簡単ではないのが五輪という舞台。人生を捧げた者たちとの戦いは、世界一のチカラをもってしても容易く勝ち抜けるものではありません。ショートプログラムで起きたアクセルラッソーリフトでのミス。リフトを得意とし、リフトで世界をリードしてきたペアにとって、信じられないような出来事でした。これが五輪か。ここで裏切られるか。そう唸りました。

演技を終えたあと頭を抱える木原さんの姿。このペアのリーダーシップを取り、リフトさながらに力強く「りくりゅう」を導いてきた頼もしさが消え入るように、うなだれ、目を濡らし、焦燥して見えました。得点差で言えばトップまでわずか6.90点差ですので、まったく諦める段階でも落ち込む段階でもないのですが、「これが五輪か」によるダメージは相当な深刻さに映りました。ことに、この大会ではすでに金確実とみられた選手が「これが五輪か」によってメダルさえも失う姿を見てきたばかりなのですから。



迎えたフリー。りくりゅうペアは金メダル候補としては早い、第3グループでの登場となりました。この演技のあとにメダル圏内にいるペア4組による最終第4グループの演技が行なわれます。ただ、りくりゅうペアの直前が前回金の中国スイ/ハン組であったことと、日本で一番なじみのあるシングルは6人のグループで行なわれることが多いこと、そんなこともあって今これが最終グループのような錯覚も覚えます。先に演じてプレッシャーを掛けられるか。真の強さが問われる瞬間です。

冒頭のトリプルツイストを高く鋭く美しく決めると、3連続ジャンプも見事な同調性で決めます。嫌なイメージがよぎっても不思議はないアクセルラッソーリフトもこの日は何の問題もない本来の出来栄え。ひとつ心理的難関を突破してりくりゅうは自分たちの強さを示しました。

その後もつづく攻めの演技。武器であるスロートリプルルッツは大きくて流れがあります。デススパイラル、笑顔で入るペアコンビネーションスピン、歓声あがるトリプルサルコウ、高くて大きくて安定したリバースラッソーリフト、GOE+5をつけるジャッジも出たスロートリプルループでは、三浦さんの振り付けがガッツポーズのようにも見えました。まだ要素を残した時点ですでに速報の技術点はこれまでのトップを上回っています。

最後のリフトはリンクを巡るように長く長く行なわれ、フィナーレのコレオシークエンスへ。「やった!」とでもいうような表情の三浦さんと、「おおお!」と叫び出しそうな木原さん。最後に木原さんが三浦さんを持ち上げたフィニッシュでは、団体戦では何度も何度も拳を突き上げて三浦さんがガッツポーズをしていたものが、天高く拳を突き上げたまま万感胸に迫って硬直するような幕切れでした。美しい彫像のようでした。これまでの日々、積み上げた想い、払った犠牲、すべてがこの日この時この瞬間のためにあった、すべてをやり遂げたふたりが抱き合って涙する姿は見ている者ももらい泣きさせるようなものでした。

スタンディングオベーションで大拍手と大歓声を贈る場内。そのなかでひときわ大きな声をあげる解説の…いや日本のペア種目を牽引し、木原さんをこの種目、この人生に導いた高橋成美さんはすごいすごいすごいと連呼しながら「宇宙一」とこの演技を評しました。そう、そうかもしれない。この広い宇宙でも、氷のうえでふたつの人生が同調する美しい種目はこの地球にしかないかもしれない。だとすれば。この演技は宇宙一に違いない。この試合の勝ち負けはまだ未定ですが、りくりゅうは五輪に勝ち、自分たちの人生に素晴らしい偉業を打ち立てた。間違いなく、勝者でした。



この演技は会場の空気を変え、世界の空気を変え、五輪を支配しました。珍しいものを見たい、特別な場面を見たい、ときにそうした世界の群衆の思いは負の方向に蠢いて、力量実績がある選手が五輪の魔物に食い散らされて失意に沈む姿を望むもの。もしかしたらあったかもしれないそんな負の空気さえ、りくりゅうの演技はかき消しました。苦しい場面もあったけれど、その困難をも乗り越えて、世界一のチカラを持つ者がその強さを示して勝つ、そんな王道を見たい。そういう正の方向で世界の空気が定まった、そう思います。すべての者がチカラを発揮したとして、なおこの演技が勝つべきだ、そんな空気へと。

まるで花道が開かれるように、金メダルへと近づいていくりくりゅうペア。最終第4グループは金ではなく銀と銅を争うかのように、ショート1位発進としたドイツのハーゼ/ボロディン組も、ショート2位ジョージアのメテルキナ/ベルラワ組も、ショート3位カナダのペレイラ/ミショー組もジャンプ要素に明確なミスが出て、りくりゅうの黄金の演技には及びません。互いに生涯最高を出し尽くせば、あるいはショートのミスが順位に影響を及ぼしたかもしれませんが、そうはならなかった。

これもまた五輪だな、そう思います。これまでの偉大な王者たちが、偉大であればあるほど必ず五輪を制してきたように、本当に勝つべき者がそれに値するチカラを示したとき、必然としてそれは金に至るのだなと思います。日本を団体戦銀に導いたりくりゅうペアに、ふさわしい色のメダル・金メダルが届いたこと、心から嬉しく思います。おめでとう、りくりゅう!





すべてがつながっての今だな、そう思います。日本では決して本流ではないペア種目の歴史を紡ぎ、切り拓いてきた先人たちがいたこと。そんなひとりであり、もしも時代が違えば今このりくりゅうペアのような輝きで世界だけでなく日本でもその名を轟かせたかもしれない高橋成美さんがいたこと、その成美さんの存在もあってもともとはシングルの選手であった木原さんをペア種目に向かせることになり、オリンピックへと到達したこと。そして、そんな姿を見ていた三浦さんが、一線を退くようにリンクでの仕事に打ち込んでいた木原さんのもとへ向かったこと。いろいろな出来事がすべてつながって今ここにある。

そのなかには、その瞬間においては挫折としか思えない出来事もあったでしょう。日本はもともとシングルが活況な地域です。木原さんも三浦さんももとはシングルの選手だったといいます。しかし、シングルが活況であるがゆえにその競争も険しい。木原さんが最後にシングルの選手として出場した2012年の全日本選手権には、羽生結弦氏や高橋大輔さん、小塚崇彦さんや町田樹さん、宇野昌磨さんといった世界のメダルを獲った選手たちがズラリと並んでいます。そこに織田信成さんや田中刑事さん、無良崇人さんが居並んでの熾烈な黄金時代。そこからペアに転向するにあたっては、100%前向きな決断だったものだろうかと思います。唇を噛むようにして団体戦に活路を見出した、そんな分岐点だったのではないかと想像します。

ただ、それすらも巡り巡ってふたりの一部になっている、そう思います。ショートプログラム、ふたりの武器であったリフトが滑り落ちたとき、正と負のどちらへ進むのか別れ道があったはず。そのとき、ふたりを支える別の武器である難度・精度の高いジャンプが力強く踏み留まらせた。ミスの直後の要素スロートリプルルッツ、最高ではなかったかもしれないけれど際どい別れ道で踏み止まった。三浦さんが着氷の姿勢を崩さないまま、上半身を動かしてバランスを保ち、降り切った。ひとりが崩れそうなとき、もうひとりがその倍の強さで支えるような、絆の強さが胸を打つ着氷でした。

ふたりがペアを組んだとき、見ている側も、演じている側もごくごく初めの段階から「合っている」と感じてきました。それはおそらく偶発的なものなのでしょう。持って生まれた体格や、バランス、タイミング、滑りの技術、ナチュラルなスピード感やスピンの速度。それぞれが培ってきたものが、おそらく出会いの瞬間から自然に合っていた。外れたパズルのピースがぴったりハマるように、これだと思えるような感覚があった。努力と研鑽による積み上げは当然するとしても、スタート地点が異例の高みにあったのだろうと感じています。

そして、その「合っている」は滑りだけではなかった。まだ年若かった三浦さんと、すでにスケーターとしてはベテランの域に差し掛かっていた木原さん。年齢とキャリアの差は、木原さんをりくりゅうでリーダーシップを取る存在へと押し上げていきましたが、それはある意味で補強的な部分だったのかもしれません。団体戦の表彰台にのぼるときに、過去の経験からもしかしてブレードに影響があるかもしれないとスペアの靴に履き替えるような繊細さであったり慎重さを持った木原さんは、ショートプログラムのあと崩れかけそうな姿を見せていました。何も終わってなどいないのに、終わったという顔をし、終わったという思考に絡めとられそうになっていた。剥き身の弱さが見え隠れしていた。

しかし、三浦さんは木原さんに「合っていた」。この極限の舞台で、剥き身の自分を暴かれたとき、このペアを支えるぶんの強さを三浦さんは備えていた。木原さんを抱き締め、励まし、思考を変え、ネガティブになりそうになる表現を何度も言い直しながら、これまでやってきたことも今起きたことも何も問題はないし終わってなどいないことをすぐそばで示しつづけた。キス&クライで大転倒してもあっけらかんとしているような強さと前向きさでりくりゅうを守った。思えばそれは始まりの日からそうだったのでしょう。放っておけば静かにリンクを離れていったかもしれない木原さんの手を取り、もう一度戦わせたのは三浦さんなのだから。

このふたりは生まれるべくして生まれたペアではない、そう思います。

はじめからペア種目を志す人がたくさんいて、ペアでの勝利を意図する周囲の後押しを受けて、すでに構築された組織と方法論によってベストなパートナー候補にあたりをつけ、成功するまで何度も何度も組み直して、「遅かれ早かれいずれ誕生していた類のペア」ではない、そう思います。ペアを組むという考えに至る人自体がまだ少なく、活躍を期待されるような環境もまだ乏しく、ほとんど誰も「金メダルを獲れる、獲る、そのために支える」などと思ってくれてはいないなかで、野生の花のように生まれたペア、そう思います。敷かれたレールなどなく、本人が辞めると言ったらそれで終わってしまうような道なき道を、紆余曲折を経て、挫折とも言えそうな分岐点を経て、それぞれが切り拓いてきたペア、そう思います。

そんなふたりが出会えたこと。誰もが「合っている」と感じるような巡り会いを果たすまで、諦めなかったこと。木原さんの時間に三浦さんが間に合ったこと。「運命の出会い」という言葉があるなら、きっとこういうことを言うのだろうと思います。このふたりが出会っていなければ、今も僕は、そしてたくさんの人は、日本がカップル種目で金メダルを獲る姿など想像もしていなかったでしょう。いつか獲れたらいいな、カップル種目強ければ団体戦も勝てるのにね、でもロシアとか強いしね、何か勝てる気しないしね、日本にはシングルがあるしね、さて女子シングル見ようか、みたいな価値観のまま長い時間を過ごしていただろうと思います。

その価値感すら変えたこの運命の出会いを、日本は大切にしないといけないなと思います。今この偉業は、本人たちの途方もない努力と忍耐と天運のもとで偶発的に生まれたものだと僕は思います。りくりゅうがいなくなったあと、じゃあ次またメダルを目指しましょう、そんな再現性のある話ではまだないだろうと思います。ただ、今大会はりくりゅうだけでなく長岡柚奈/森口澄士のゆなすみペアも五輪の舞台に登場しました。五輪の舞台に日本から2組が出場するのは初めてのことであり、「ゆなすみ」にはこの偉業につづいてくれそうな大きな期待感があります。そうして、やる人、目指す人、支える人、経験を持った人、伝える人、信じる人、憧れる人が、増え広がっていけば、価値観の次に現実が変わっていくはず。

いつか、この金メダルを見て、この絆を見て、「自分もこれをやりたい」と憧れる子どもたちがたくさん生まれ、その憧れがたくさんの応援を受けながらそれぞれのゴールまで辿り着けるようになったなら。五輪があるから、五輪にいけそうなカップルだから、だけではなく、「やりたい」というピュアな憧れがゴールにちゃんと辿り着けるように現実が追いついてくれば、日本においてもカップル種目がお家芸となっていくのだろうと思います。力及ばず破れるのは仕方ないけれど、今の日本では力及ばず破れたと納得するところまで競技をつづけるのも簡単ではないでしょう。シングル以上にペアやアイスダンスは、ふたつの魂が必要なぶん、乗り越えるべきものもふたつになるのですから。もし、力及ばず破れたと心から納得できるところまですべての憧れを辿り着かせることができるようになったら、そのなかにはきっとまたりくりゅうのように「合っている」ペアがいるだろうと思います。

そこまで辿り着いてはいなかっただろう木原さんと、

その消え残る心に火を点けた三浦さんとが、

「運命の出会い」を探し求めなくても遅かれ早かれ出会えるような日本になる日、

それが未来のステージかなと思います。

だからこの偉業は、少年漫画ならきっとこんな言葉で締めくくられる奇跡の物語なのかなと思います。

「出会ってくれて、ありがとう」
「見つけてくれて、ありがとう」
「この広い宇宙のなかで、私を」

本当に、ふたりが出会ってくれて、ありがとうです!




そんなことで、ちょっと感極まってきまして、映画化・舞台化を希望する心が昂っているので、心とお金のあるどなたか、三浦璃来/木原龍一主演によるアイスショー「りくりゅう」を企画していただけないでしょうか。本人たちの半生を振り返りながら、最後にあの感動の「グラディエーター」で締める感じの3時間くらいの公演を。途中に絶対に欠かせないキャストとして高橋成美さんが登場したときにそこだけコメディタッチにならないかは若干気になるところですが、最後は絶対に泣いて終われると思いますので。いや、リアルに、次の未来を目指すのにあたっていい案じゃないかなーと思うので、検討してみていただけると幸いです。その際は、木原さんのバイト先で三浦さんがペア結成を誘った場面は、脚色バリバリてんこ盛りで「リアルにはこうは言ってないです」「ていうか全然嘘です」「私ビンタとかしません!」くらいのドラマティックな嘘をお願いします!ショーなんで、軽くビンタするくらいの嘘が入っているほうが泣けると思いますので!


この出会いは一生の宝物ですね!末永く仲良くしてください!

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婦人公論 2017年 12/27、1/6 合併特大号

僕は自分が見たことしか信じない 文庫改訂版 (幻冬舎文庫)

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