スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

野球

阪神タイガースの優勝を「アレ」と言い換える知略に感服したので、我が埼玉西武ライオンズも今季残り試合で「アレ」を目指しますの巻。

08:00
埼玉西武ライオンズもアレを目指します!

阪神タイガースの皆さま「アレ」おめでとうございます。チームスローガンに「ARE」を掲げ、岡田監督の口癖の風体を装いながら、優勝という重たくて大きな目標ではなく、もっとカジュアルで気軽な目標としての「アレ」を掲げてきた阪神さんの戦略、感服いたしました。これまで我々がさんざんいじってきた「アカン阪神優勝してしまう」「Vやねん!」などの言霊の数々を逆手に取った逆言霊のようなやり方、大変勉強になりました。

人間には言霊を活かせるタイプと活かせないタイプがいます。あふれる才能と向上心、圧倒的な実力がある人が最後のひと押しとして言霊を掲げるのは割といい結果に結びつきますが、そうでもない人が掲げた場合は単なる重圧になってしまいがちです。チームという大きな組織のなかでは必ずしも全員が言霊型とは限りません。その中間を取る公約数こそが「アレ」なのでしょう。目指すものをハッキリ見据えたい人は脳内で勝手に優勝と変換し、そうでもない人はフワッと「アレ」と思っておく。お客さんも勝手に「アレ」を理解し、フワッとアレを意識する。とてもいい塩梅だと思います。

これはぜひマネしたい。

我が埼玉西武ライオンズにはもはや目標などあってなきがごとくではありますが、まだシーズンは終わっていません。「コンシード!」とか「申告敗退!」とか叫んで終われるなら終わってもよいのですが、最後まで期待をかけてくださるお客様もいます(※数千人くらい)。そんななか、世間にバレると「もう無理では?」と眉をひそめられるような目標でも「アレ」と言っておくぶんには「ふーん、まぁ、ええんちゃう」くらいで流していただけそうな気がします。残り16試合ではありますが最後まで何らかの「アレ」を目指して頑張っていこうではありませんか。アレを目指して!

↓「阪神がアレ」だと明るい気分になるのに、「西武のアレ」だと薄暗い気持ちになるのは不思議ですよね!


残された埼玉西武ライオンズの目標:「トラとオリのアレをアレする」

毎年のように他球団のアレを見送ってきたアレ見届け球団、それが埼玉西武ライオンズ。今年も我が方の手のなかにアレの行く末が飛び込んでまいりました。この3連休にオリックスのアレを妨げてアレしようとするライバルである千葉ロッテと対戦する西武は、来週24日からは今度はオリックスの本拠地京セラドームでオリックスとのアレ決定3連戦を迎えます。

現在のオリックスのアレナンバーは7。間にオリックスとロッテによる直接対決が挟まっていることを考えると、来週あたりにはちょうどゼロになる頃合いでしょう。ポポポーンと順調にアレしてくれていればよいですが、オリックスは策士ですので「アレは本拠地で決めよう」くらいのことは考えてくるでしょう。20日までにとっとと決まらなかった場合は、きっと我々の目の前でアレしようとしてくる。

すでに阪神のアレにあたっては、もともとソフトバンクと西武の試合をやるはずだったテレビ中継が「二元中継でお届けします!」と言い張りながら、阪神がアレするまでひたすら阪神を映しよるというアレ見守り中継になっていました。これでオリックスのアレも直接見守るとなれば、気分的にはセ・パのアレを両方見守った感じにもなれるでしょう。森友哉さんの劇的サヨナラアレムランとかで決めてあげちゃったりすると、「おくりびと」としてもいい立ち回りになるのではないでしょうか。「光を強調するための影」的な背景素材として頑張らせていただきます!

↓そう言えば「アレ」そのものはしばらく見てないですね!そろそろ見たいなぁ!


残された埼玉西武ライオンズの目標:「ハムをアレする」

世のなかには日本人の主食であるコメをアレして「令和の米騒動」なんて呼ばれているアレな球団があるようですが、我々がアレしたいのはコメではなくハムです。この苦難のシーズンにあっても、下にもう1球団いてくれたら「まぁこんなもんちゃう…?」「松井監督はようやっとる」「球界トップ10には入っとる」という謎の留飲も下がるだろうと思います。

通常ならそんな目線の低い目標など掲げようものならイキり系のファンからドヤされるところですが、「アレ」であればヌルッと見逃される気がします。逆にハムも西武をアレすることを考えているでしょうから、残る直接対決をキッチリと勝利して、アレしていきたいと思います。「“日本”なんてエラそうな名前つけやがって!このソーセージ球団!」「なんだとぉこの没落企業が!?球団もとっととヨドバシに買われちまえ!」「残念でしたー!池袋のアレは名字が同じってだけの他人でーす!」的な熱いバトルを最後に見たいものですね。

↓あとで3球団で対抗戦でもやりませんか?3球団のなかでアレとアレレレレを決めましょう!



残された埼玉西武ライオンズの目標:「4人アレする」

低迷のシーズンのなかでも来季以降のアレへの希望はあります。我が方は先発投手陣が充実してきており、すでにシーズン10勝の大台に到達した選手が2名(※パ・リーグ全体で5名中)。さらに9勝と8勝も1名ずつおりますので、最大限上手いこといけば「10勝投手4人」という充実体制で来季を迎えることができるのです。

9勝投手には「8回投げ切って2点リード、最終回に救援が炎上」という試合だったり「8回2失点だけど味方が1得点」という試合だったり「8回無失点も味方が得点できず延長負け」という試合だったりがありますので、これはもう事実上のアレ達成と言っても差支えないでしょう。8勝投手にも「6回無失点、味方は普通に9回無得点」とか「6回1失点、味方は普通に9回1得点」とか他球団ならもうちょっと勝てていたであろう試合がありました。

であるならば、多少アレな方法であっても「10勝」という箔だけでもつけてあげたら来季のアレが近づくのではないでしょうか。どうせみんな試合など見ていないのですから、1球で勝利投手みたいなアレなやり口であっても「わー、10勝したんだー」「一流投手ですね」「メジャー行っちゃう?行っちゃう?」みたいな感じで地元のおっちゃんおばちゃんが喜んでくれるでしょう。そこで生まれる自覚、向上心が来季の飛躍の原動力にきっとなる。全力で個人記録をアレしていこうではありませんか。

↓先に4人アレしてカルテット作られると焦りますが、ウチも諦めずに頑張りますよ!


残された埼玉西武ライオンズの目標:「山本由伸さんの投手4冠をアレする」

日本を旅立つ日をオリックス以外全員が待っていると言っても過言ではない、国内ナンバーワン投手・山本由伸さん。「おっ、今日ヤンキースのGM来てるな」程度のやる気アップでノーヒットノーランしてしまうのですから手がつけられません。今季も投手タイトルを独占する勢いで快投をつづけています。

そんな山本さんが唯一取り損ねるとしたら奪三振のタイトルでしょう。そこには我が埼玉西武ライオンズの平良海馬さんが7個差で迫っているという点もありつつ、もうひとつロッテの種市篤暉さんが山本さんを1個上回る奪三振を挙げているという点があります(※登板数も1多い)。種市さんの登板日程を考えると、終盤にやり残していたロッテVS西武戦で直接対決するチャンスがありそう。ということは……?我々の胸先三寸で「アレしつづける」ことも可能であるということ……?山本さんが真に4冠にふさわしいのか、我々が全力で試そうではありませんか(※3度目の正直)。何をどうするのかはお楽しみですが、とにかくアレです。

↓真に国内ナンバーワンを自認するのなら、我々をアレしていくんだな!


残された埼玉西武ライオンズの目標:「あと16点取ってアレをアレする」

「最強の3軍」みたいな顔ぶれでえっちらおっちらやってきた打線は、歴史的な低迷のシーズンを過ごし、何とここまでわずか384得点。1試合あたり3.02得点という、一流の投手リレーでも勝たせるのは難しい強制スモールベースボールを敢行しています。もしも400得点の大台に乗らなければ1973年のヤクルトアトムズ(どこ?)と広島東洋カープ以来、50年ぶりのことだと言います。その当時より10試合以上多いのに、今さら再び半世紀ぶりの記録に手をかけようとしているとは。

何とかしてあと16得点して400点台に乗せたい。別に400点台に乗っても乗らなくても構わないけれど、「もしももっとアレな強豪社会人野球部がいて、半世紀ぶりにランキング上位にポーンと飛び出てくるようなことがあったとき、その球団をみんながアレする邪魔をしたくない」とは強く思います。同じようなのが2球団いたら「ボールが飛ばないシーズンだったのかな?」とか思ってしまいますが、1球団だけ半世紀ぶりの記録を作ったら「アレwwwww」「コメ不足でアレwwwww」「食えwwwコメ食えwwww」と盛り上がれるじゃないですか。絶対にアレをアレする邪魔はしたくない。そのためにもあと16得点しっかり重ねていきましょう。

↓アレの300点台は確定待ちしてるだけだと思うんで、あとは西武が頑張るのみです!



残された埼玉西武ライオンズの目標:「アレをアレする」

「木を隠すには森友哉のなか」なんて言いますが、こうしたアレ目標を多数掲げておけば、アレも目立たなくなるのではないでしょうか。我が方で「アレ」と言ったらアレしかないアレのアレを、今季の残り期間でしっかり考えておかねばなりません。アレはこの先どうなりたいのか。我々はアレをどうしたいのか。「アレはアレすべきだ」「いーや、アレすべきだ」「アレを最大限活用したい」「アレをアレすること自体がアレではないのか」「アレに決まってるだろ!」という忌憚ない意見も、アレ語であれば可能になるのではないかと思います。

僕自身は「まずアレしてアレしてからアレしろ!」という意見を持っていますが、現状はあまりにアレがアレなのでアレするにしてもアレしないにしてもアレが足りません。現時点ではアレはアレになりましたが、まだアレがないとも言い切れず、その意味では、後手後手でアレするよりも先手先手でアレするほうがトータルでアレがアレでしょう。しかし、それでアレがアレでアレした場合、我々がアレをアレしたのは何だったのかとアレする向きも出ざるを得ません。そこにしっかりと基準を設けて、意志をもってアレする。断固として、決然と、アレする。それこそが来季チーム一丸となってアレを目指すために今できることだろうと思います。

↓来季をスッキリと迎えることができる球団は強い!


と考えてみると、今シーズンもまだまだやることは山積みです。昨今はお客さんも露骨に少なくなってきておりますが、むしろこうした時期こそが将来の面白さを積み上げる「仕込み」の時期です。「あの年は全員アレだったなぁ」と思いながら数年後に優勝の美酒をあおるのは、特に何もなくヌルッと優勝したときよりもずっとグッと高揚するはず。

阪神さんにも18年ぶりのアレだからこそ得られる爆発的な喜びというものがあるはず。我々もアレ自体は数年前に経験していますが、その先にあるさらなる目標「ソレ」は2008年以来遠ざかっています。というか、ソレシリーズに進出したのも2008年が最後です。早くも15年。2008年って「日本でiPhoneが初めて販売された年」ですよ。iPhone出た年にソレしてからずっとソレしてないのです。「西武のソレをiPhoneで撮影したことある人ゼロ人説」ですよ。あと5年はないものとすれば20年。その頃には美酒の熟成も完全に進んでいることでしょう。

近い将来のソレに向かって、まずはアレする。そのためにアレにアレさせてアレさせてアレする。ひとつずつ段階を踏みながら、この熟成の日々を楽しんでいきたいと思います。ラグビーワールドカップとバレーボールワールドカップと大相撲の隙間を縫って、最後までしっかりと我が西武の戦いを見守っていきたいと思います!最後まで奮闘アレ!

↓来季のスローガンは「アレ魂」とかでどうでしょうか!


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すぐにソレとかアレは無理だと思うので、数年内にコレに行きたいものですね!

甲子園はやっぱり清原のためにあった!107年ぶりに夏を制した慶應高校の戦いと「代打清原」のコールに清原和博ファン号泣すの巻。

08:00
甲子園は清原のためにあった!今でも!

うだるような暑さの真夏の午後、胸が熱くなる試合を見ました。そして泣きました。23日に決勝が行なわれた夏の全国高校野球。神奈川県代表・慶應義塾高等学校と宮城県代表・仙台育英学園高等学校との決勝戦は甲子園の歴史に残る、そして新たな歴史の始まりとなるような試合でした。改めて両校の選手たちと、すべての関係者の皆さまと、全国の高校野球ファンとこの感動を分かち合いたいと思います。おめでとう、ありがとう、素晴らしかった!

↓優勝は慶應義塾高等学校!実に107年ぶりの優勝でした!おめでとうございます!



例年以上にも注目と盛り上がりを見せた第105回全国高校野球選手権。まるで漫画のような、ドラマティックな顔合わせがこの決勝戦で実現しました。昨年初めて東北に深紅の大優勝旗を持ち帰り、夏連覇…ではなく「二度目の初優勝」を目指す仙台育英高校。第2回大会以来となる107年ぶりの優勝を目指し、全国で活躍をつづけるOBたちをお祭り騒ぎに駆り立てた慶應高校。どちらが勝っても大ドラマ。春のセンバツでも対戦し、そのときは仙台育英が勝ったという因縁もあり、甲子園は異様なまでの熱気に満たされていました。チケットは瞬殺、スタンドには4万2100人の大観衆が訪れたといいます。

そんな大舞台で選手たちは躍動しました。元気で爽やかな掛け声とともに始まった決勝戦。1回表、夏の甲子園の歴史のなかでも史上初となる慶應・丸田湊斗さんの先頭打者ホームランで幕を開けると(※丸田さんは公式戦初ホームランとのこと)、まずは慶應が2点を先制。慶應は2回表にも再び丸田さんのタイムリーで追加点を挙げて序盤で3点のリードを築きます。一方、仙台育英も現王者としてのチカラを見せ、2回裏には連打を足掛かりにまず1点。3回裏には相手のエラーなどもあって1点差まで追い上げます。懸命なプレーと、そのワンプレーごとに大きな歓声で盛り立てるスタンド。すべての飛球はホームランであるかのようにさえ聞こえました。選手たちは生涯決して忘れることのない体験をしただろうと思います。

勝負を大きく動かしたのは、仙台育英が先発の湯田統真さんからエースナンバーを背負う高橋煌稀さんへとつないだ5回表でした。慶應は二死一塁からタイムリーツーベースで1点を追加すると、四球、安打、相手失策、安打と猛攻を重ね一挙に5点を追加します。スタンドで揺れる尋常じゃない数のメガホンと楽器の群れ。三塁側全体が慶應応援団であるかのように、声と手振りを合わせて大声援を送っています。同じ甲子園で見る阪神タイガース大応援団でさえここまでの迫力はありません。これが107年ぶりということなのか。その107年間に多数の卒業生を輩出し、日本を支えてきた名門・慶應の歴史の厚みなのか。対戦相手が仙台育英のような歴戦の強豪校でなければ、この雰囲気だけで飲まれてしまっても不思議はないと思うほどの爆音応援でした。

一部にはこの応援が選手間の声をかき消してエラーを誘発したのではないか、あるいは「応援のせいで」選手たちが委縮したのではないかといった論調もありましたが、仙台育英に限ってそんなことはなかろうと僕は思います。慶應の応援は確かにすごい迫力でしたが、仙台育英応援団も中立的な観衆を巻き込むようなアピールを行なったり、甲子園の魂を味方につけるかのように阪神タイガースのチャンステーマを鳴らしてみたり、創意工夫で対抗していました。そうした機転と行動力を備えた高校生たちです。その代表たる選手たちもまた、相手方の声などものともせず威風堂々渡り合っていたことだろうと思います。チカラ及ばす敗れることはあっても、弱さで崩れて負けたというような見立ては、選手たちにとっても不本意だろうと僕は思います。

どちらの立場であったとしても、これだけの応援を受け、これだけの応援を跳ね返す機会は人生のなかでそうそうあるものではありません。もしかしたらこの日が生涯最高かもしれません。ほとんどの人の人生においては、この日を超える日は訪れないだろうとさえ思います。貴重な体験、生涯の思い出として、この記憶を大切にしてほしいもの。心から羨ましく思いますし、頑張ってきた選手たちへの最高の贈り物だなと思いました!

↓慶應のド迫力&大規模応援!慶應OB盛ん過ぎだろ!


↓慶應OBの107年ぶりの大集結にも負けない創意工夫!


↓阪神のチャンステーマ「チャンス襲来」で仙台育英の攻撃を盛り立てる!

ロッテの井口さんの応援歌とかも使っていて、単に「野球応援歌名曲マニア」なんじゃないかって話もありますが!

「打て井口」もいい曲ですよね!



プロ野球なら選手やファンも「勝ちゲーム」「負けゲーム」などと勝手に計算を始める点差となった試合。しかし、両校選手はこの大切な日を味わうように、最後まで野球を楽しみます。6回表慶應の攻撃の場面、一死満塁のピンチを連続三振で凌いだ仙台育英・高橋さんの投球は、さすが背番号1と昨年優勝の実績を背負うだけのことはある素晴らしいものでした。8回裏の仙台育英の攻撃では、二死となってから連続安打でチャンスを作り、まだまだ諦めないという姿を見せました。9回裏最後の攻撃でも「笑顔!」を意識して、下を向くことはありませんでした。「逆転の仙台育英」の二つ名は、逆転勝ちの多寡を示すものではなく諦めない気持ちの強さを示すもの。同じ東北民としても「さすが仙台育英」と胸を張りたくなるような頑張りでした。

それでもこの日はやはり「107年ぶり」がすさまじかった。107年前の記録と戦うなんてのは大谷翔平さんの十八番かと思っていましたが、日本の高校生も大したものです。それに加えて9回表慶應の攻撃で先頭打者に代打が送られ「代打・清原」のコールが響いたとき、これはもう味方せざるを得ない、そんな気持ちになりました。慶應・清原勝児さん、言わずとしれた清原和博さんの次男です。お父さんが人生を持ち崩したあと、野球をつづけていた勝児さんがお父さんに教えを請うたことが「清原家」を再び結びつけるきっかけになったと聞き及びます。その勝児さんが、お父さんが愛し愛された甲子園に帰ってきて、しかも夏の大舞台で親子二代での優勝を成し遂げようとしている。

お父さんのファンのひとりとして、本当にありがとうと言いたい、伝えたい。野球をつづけてくれてありがとう。お父さんを頼ってくれてありがとう。甲子園に来てくれてありがとう。甲子園の決勝に来てくれてありがとう。「清原」の名をスコアボードに灯してくれてありがとう。お父さんの面影が残る右打席でのスイングを見せてくれてありがとう。四球による出塁ではあったけれど、お父さんのいたファーストに立ってくれてありがとう。勝児さんのお父さんは本当に愛された人で、とてもとてもカッコよくて、そのぶんだけとてもとてもたくさんの人に悲しい想いをさせてしまいましたが、こんな素敵な日を迎えることができたなら、苦しみながら進んできた日々にも甲斐があったと感じているだろうと思います。お父さんが素晴らしい喜びのなかで思い出される日を作ってくれて本当にありがとう。

「代打清原」のコールで響いたこの日一番の大歓声は、たくさんの人からの激励と感謝の声です。勝児さんへの頑張れという気持ちと、その向こうにいるお父さんへの頑張れという気持ちと、お父さんがこういう日を迎えられたことへの感謝と、素晴らしい親孝行への感謝とが詰まった、たくさんの人の温かい想いです。僕も嬉しくなりました。みんなが喜んでいることが嬉しくなりました。お父さんのファンとして、あの事件以来一番いい日を迎えることができました。東北民としては心苦しいですが、今年は慶應の応援にまわります!

↓ありがとう勝児さん!ありがとう、ありがとう!


勝児さんは2年生ですが1年時に留年しているとのことで、今回が最後の甲子園です!

最後の甲子園で、おそらく史上初の親子優勝をやるとかドラマ過ぎる!

やっぱり「甲子園は清原のためにある」のだ!

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そして迎えた試合終了の時。勝利した慶應は107年ぶりに夏の甲子園を制しました。敗れた仙台育英も2年連続での決勝進出という素晴らしい強さを見せ、9回最後の攻撃まで笑顔を失わずに戦い抜き、敗れた試合のあとでも相手を讃える心の美しさを見せました。素晴らしい若者たちが育っていることを感じ、未来すら明るく見えるような気持ちになりました。いい決勝戦でした。泣きました。8割くらいは清原和博さんを思っての涙でしたが、忘れがたい夏になりました。

今年の甲子園を巡っては、古き悪しき風潮の変化のようなものも感じました。慶應が掲げる「エンジョイ・ベースボール」のモットーや自由な髪型などはその象徴です。ただ、それ自体は必ずしも目新しいものではなく、これまでもそうしたスタンスの高校は一部にありました。しかし、ここまで大きく取り上げられることはなかったように思います。どちらかと言えば、古き悪しきファンたちが眉をひそめながら、そっと黙殺してきたように思います。「女子の髪型はポニーテール一択!」と同じ感じの「甲子園は坊主頭の少年が泥にまみれる!」みたいな性癖を持った人たちが、新しい時代にずっと抵抗していたように感じます。

それが時を経て、指導者も若い世代となり、学生たちも自ら考え行動するチカラを高め、古き悪しきファンも新しい時代にようやく追いついてきたのでしょう。もはや慶應のようなチームは眉をひそめる対象ではなく、いよいよ現れた時代の寵児として受け止められました。まさに時勢とも言うべきタイミングで、強く、爽やかで、新しい時代のチームが活躍してくれたことは、甲子園にとっても大きな一歩だったと思います。慶應のように勝ちたい、強いだけでなく、楽しく、カッコよく、自分らしく勝ちたい。そういう風が吹き渡っていく機会になるだろうと思います。とかく甲子園というのは、青春の煌めきに嫉妬する人から敵視されるイベントですが、それすらも吹き飛ばしていくような素晴らしい風が吹き渡る、そんな夏になったと思います。

かつて愛した高校野球を守って繰り返すよりも、若者が自ら作っていく新たな高校野球のほうがきっと素晴らしい。

素晴らしい若者たちの未来に幸あることを祈ります!

↓甲子園は終わりましたが、これからの選手たちの未来に元気を送ります!受信してください!


高校生の野球を見てボロボロ泣くとは、僕もいい加減大人になったんですかね!

ノーヒットノーラン請負球団・埼玉西武ライオンズ相手のノーノー達成は、陸上の「追い風参考」のように「西武参考」と付記すべきな件。

08:00
西武相手のヤツは「ノーヒットノーラン(西武参考)」と呼ぶべき!

打たないことに関しては一家言ある…関東地方の山奥にあると噂される無打負流を極めし男たちの集団、それが埼玉西武ライオンズ。かつては山賊打線などと呼ばれ、大味な試合で乱雑なスコアボードを描くのが得意だったとも言われていますが、今はすっかりカマの抜けたカマキリのようになっております。とにかく打たない、まったく打たない、打てなそうな日はからっきし打たない。ちょっと点が入った日のサッカーみたいなスコアでえっちらおっちらその日暮らしをやっているような現状です。

そんな西武がまたもやってくれちゃいました(←ロクでもないことをやったときの言い方)。迎えた8月18日の福岡ソフトバンクホークス戦、「3連勝すれば向こうの無能監督を引きずり下ろして3位が狙えるのでは?」みたいな身勝手な妄想をしながら「今シーズンで一番大事な試合だ」などと鼻息荒くして敵地に乗り込んだ西武界隈は、何と、よもやの、ノーヒットノーランを食らってサイレントサマーをおっ始めたのです。夏休みに打ち休み。お盆にあぼーん。「悪天候を押してまで西日本に行くのは止めよう」と、埼玉から現地へ向かった西武トラベル御一行様も思い出深い夏になったのではないでしょうか。

「嘘やろ!去年やられたばっかだぞ!」「去年だけで2回やられてるんだぞ!」「2年で3回!家でたこ焼きパーティーするペース並みの頻度!」と衝撃を受ける西武界隈。しかし、よくよく考えてみれば今年も「9回二死まで無安打」と「9回一死まで無安打」というノーノーチャンスがすでに二度もあったのです。そろそろやられてしかるべきタイミング。これを昔の人は「三度目の正直」と呼んだのです。まぁ、よくここまでノーノーノー(※ノーノーされてないの意)で粘ったと思いますよね!しゃーないしゃーない!ノーノーで負けても僅差で負けてもおんなじおんなじぃ!

↓石川柊太さんのノーノー達成はプロ野球史上88人目99度目のことだそうです!節目の100回目まであとひとつ!

「100回目は絶対に譲れないな」
「ノーノー請負球団としてぜひとも決めたい」
「できれば完全試合で決めたい」
「歴史にこの名を刻みたい」
「ある程度、相手の格は欲しいよな」
「その辺のピッチャーにはやらせられない」
「節目の100回目だからな」
「理想を言えば大谷だが…」
「大谷と試合する機会がないな…」
「大谷にはもう相手にもされなそう」
「じゃ、佐々木朗希でいっか」
「まぁ佐々木なら及第点ではあるが…」
「佐々木は怪我しとるからな…」
「治る前に自然ノーノーが出ちゃいそう」
「あー、オーガニックノーノー」
「無意識にノーノーってる日あるもんな…」
「佐々木の回復を待つのは得策ではないな」
「ここは山本由伸あたりで妥協するか?」
「まぁ、その辺が無難かもな…」
「まぁ山本は安牌ではある」
「メジャー行き用の煽りにも使えるし」
「でも去年すでに1回ノーノーやられてるから」
「山本ならなおのこと完全試合が必要だな…」
「完全はなー、向こうの勝手な投げ損じがなー」
「勝手に四球出すヤツいるからなー」
「臭い所は全部打ってくしかないだろ、プロとして」
「そうだな、プロとして、やるしかないな!」
「プロの技術を見せようぜ!」
「100回目は俺たちが決める!」
「おー!!」

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この日の試合なども万全のノーノー試合運びで「ノーノー請負球団」の汚名躍如といったところ。初回にひとつ四球を選ぶことで早過ぎる緊張感の高まりを抑制しつつ、2回の時点で相手に5点をくれてやり、個人記録を狙える状況を見事にお膳立てしてみせたあたりは「環境整備点検100点」をあげたいくらい。振り返ってみると、見事なまでのノーノーへの地均しではありませんか。まるで除草剤でも撒いたみたいにペンペン草すら生えない地均しぶりです。

もちろんそれだけでは、5点程度では諦めてくれない往生際の悪いお客さんが「安打安打安打安打安打安打安打安打安打安打死球死球死球死球死球死球」などの長文LINEを送りつけて暴れ出す可能性があります。選手もそうした環境でうっかり頑張ってしまう可能性があります。その点でもノーノー請負球団は上手かった。小刻みな失点により、一般論で「そろそろ記録を意識する」タイミングである7回開始時点には8-0という万全の点差を作り上げていたのです。うーん、環境整備点検1000点!

「記録を狙って、いけるところまでいくしかない」「もう今日は閉店ガラガラ」という双方のムードを作ることで、観衆も含めて「今日はノーノーを見て終わりたい」という一体感でまとめあげたのは「さすがノーノー請負球団」と僕も唸りました。7回終了時点で源田壮亮さんとペイトンさんと外崎修汰さんを下げて、最後の最後にもう一度下位打線がまわってくるように先手を打っていたあたりも含めてパーフェクトお膳立てだったなと思います。

僕も家で見ていたから「こりゃザワつく金曜日でも見たほうがまだマシだな」と気持ちを切り替えられましたが、現場にいたら「いっそ、せめて、ノーノーが見たい」という方向に誘導されていたことでしょう。両球団と両ファンが一緒にひとつの目標に向かう、まさしく「ワンチーム」な光景だったと思います。両方のファンから「見せてくれ」と思われるものは、大谷さんのホームラン以外にもあるんですね!

↓大記録達成の瞬間を迎えて万感胸に迫る西武界隈の男性(※イメージ)

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ちなみに、2年間で3人の投手相手に3度のノーノーというのは1940年の名古屋以来となる記録だそうですが、これはちょっとノーノー請負球団としては活かさないわけにはいかない感じの記録です。「●年で●度のノーヒットノーラン」を軸に据えれば、「大谷翔平システム」で大記録を次々に量産できるような気がしてきますからね。「●年で●度のノーヒットノーランを喰らった球団がノーノー翌日に盗塁を3つ決めたのは史上初です」とか「●年で●度のノーヒットノーランと●年で●度の二桁安打二桁得点を同時に達成したのは103年ぶりです」とか。

何ならもう記録だけではなく、ノーノーの内容にもこだわりたくなってくるほどです。「四球1つだけの準完全試合となるノーノーを達成し、その四球が申告敬遠だった」とか、なかなかいい味が出る達成になるのではないでしょうか。「どういう状況で申告敬遠したんだよ!」って後世の人が繰り返し繰り返しツッこむ姿が目に浮かぶようです。そうした大記録を見るたびに、今まさに僕が「名古屋って野球弱かったんだなー昔から」という気持ちになっている感じで、我が埼玉西武ライオンズに関心をもってもらえるかと思うと、ゾクゾクしてきますよね。「昔、こんな球団があったんだなー」「へー、ライオンモチーフなんだー」「今は『サイ玉ウマガールズ』になってるアレかー」とかって感じで。

ただ、ここまでノーノー請負球団としての汚名が躍如してしまうと、「そもそもこれはノーノーなのか?」みたいな疑念もわいてくるかもしれません。お互いに同じくらいの強さのプロ集団だという前提があるからこそ記録も尊重されますが、1チームは大きな赤ちゃんの集団だったりしたらノーノーも何もないですよね。そういう意味では、そろそろ西武相手のノーノーというのは、ひとつ特殊な扱いにしてもいい頃合いかもしません。記録としては認めるけれど、名誉の部分では半分くらいですよという感じで。

陸上では規定以上の追い風のなかで走った場合、「名誉としては尊重するけど、記録としては認めない」という「追い風参考」のシステムがありますが、ノーノー請負球団に関してはそれとは逆に「記録としては尊重するが、名誉としては認めない」という「西武参考」のシステムを導入してみてはいかがでしょうか。「石川柊太ノーヒットノーラン達成(西武参考)」とか書いてあったら、「あー、相手西武かー」「じゃ、ま、完封くらいの感じだなー」「西武相手なら完全試合がスタートライン」って適切な温度感で伝わるのではないかと思う次第です。

メジャーリーグでも1996年の野茂英雄さんのノーヒットノーランを紹介するときには必ず「打者が有利なクアーズ・フィールドで達成したのは史上初の快挙…」という参考情報が加えられますよね。その感じで、「なお、相手は西武でした」と最後に添えるようにしていただけますと、我々のノーノー請負球団としての自覚も一層増していくのではないかと思う次第です!

↓さすがに「2年連続で二度のノーノー達成」は史上初だと思うので、ぜひ目指したいですね!


あと38試合もあればもう一回いけそうな気がする!

達成するごとにユニフォームに星でもつけますかね!



ノーノーを見たいなら西武に任せろ!ネンニのペースでお見せするぞ!

タイムリー性の当たりで二塁走者の走塁を妨害するのは「普通の走塁」と「理想的返球」を比較させる守備側の「やり得妨害」である件。

08:00
走塁妨害を逆にチャンスととらえるんだ!

最近若干元気を取り戻してきた我が埼玉西武ライオンズ。今月頭には8連敗と空気の悪い時期もありましたが、その後は7連勝と相撲取りの帳尻合わせみたいな星取りを見せ、チームも5位に急浮上。松井監督の采配もズバズバ当たり出し、「名将松井」「来年はCSまでいけそう」「ソフバンの藤本監督続投があればという条件付きで」という楽観論も広がりを見せています。藤本監督、休養などしないよう体調に気をつけて頑張ってください!

そんななか、28日の試合ではキリッとした我が方の指揮官の姿を見ることができて、試合には負けたもののちょっとゴキゲンになりました。この日行なわれた西武VS楽天の試合の5回表、二死一・二塁の場面。西武がレフト前にヒットを放つと、二塁走者であった栗山巧さんは二死フルカウントという状況だったこともあり、スタートダッシュからグングン加速し、ホームをうかがおうかという構えを見せました。

ところが、楽天のサード・フランコさんが中継に入る際にヨタヨタッと走路に立ちふさがってしまい、フランコさんと栗山さんが接触してしまったのです。これは当然オブストラクション(走塁妨害)と判定されたのですが、問題はそのあと。三塁塁審&責任審判である審判員は「本塁には到達できなかった」と判断して、走者・栗山さんは三塁に止まるようにと判定したのです。

↓「本塁には到達できないと判断」したと…!?


↓これでは本塁には到達しなかったであろうと…!?




ルール上はこの判定通りとなります。今回の場合は、走者・栗山さんに対してプレイが行なわれていた状況ではありませんので、審判員はすべてのプレイが終わるのを見届けたのちにタイムを宣告し、妨害を受けた走者の不利益を取り除くように判定します。栗山さんは自ら三塁で止まり、すべてのプレイが終わり、審判員は「本塁には到達できなかった」とみなして、そのまま三塁で走者を留め置いたと。「審判員が言うんだからそうなんでしょうなぁ」という類の話です。

ただ、「たられば」を言いたくなるようなプレーではあります。二死フルカウントという状況によりスタートが早かったこと、レフト前の芝生をのんびり転がるような打球であったこと、楽天のレフト・西川さんは打球にチャージしてきていなかったこと、三塁到達時点では「レフトがまだ捕球してもいない」こと、ものすごい強肩の選手というわけではないこと、総合的に考えれば「妨害がなければ本塁まで到達できたのでは?」と思う場面です。犠牲フライでも帰って来れそうな位置からの返球より、加速しながら三塁を回った走者の生還のほうが普通に早いんじゃないの?と思います。この審判員の見立て通りなら三塁付近に除草剤でも撒きながら「この辺に立っている邪魔なものが消えますように」と祈るしかありません。ケンカを売るならフッフフーフー♪の心境です。

松井監督もそのあたりはしっかりと指摘してくれたようで、「ゴルフボールでワザと車体に傷をつける修理屋なんてあるわけないでしょー」とでも言うような厳しい表情で珍しく審判員に食い下がりました。自軍の選手が凡プレーしてもニッコリ笑顔で見守ってくれる「決して怒らず」の人が、眉間にしわ寄せて抗議する姿は絶対に生還できたという確信があってのことだろうと感じました。最終的に審判員が判定するものではありますが、松井審判員の判定は「間違いなく本塁生還」だったのだろうと。指摘すべきところでしっかり指摘してくれたことで、納得はしませんが、多少留飲は下がった気持ちです。

↓審判員の判定は尊重しつつも、自分たちの意見もしっかり言う、いい塩梅!

「松井基準」だと走者の足がバカッ速い計算とかあるかもしれませんが!

「俺なら絶対帰って来れるなぁ…?」的な!



まぁ、このプレー自体は、「審判員はそう判定した、松井監督ほか一同は納得しなかった、それでオシマイ」です。判定を引っくり返そうとか、その判定が違っていたら試合の結果が変わっていたとかは思いません。先に5点取られている試合でもあるので、1-5負けが2-5負けになったか3-5負けになったかが精々というところでしょう。それはもういい。

ただ、このプレーと同じような形で「妨害された側が損する」ような状況が残りつづけるのは看過できません。ソフトバンクの周東佑京さんなど「レフトが捕球してから二塁を蹴っても本塁に間に合いそう」というバカッ速いイメージでもない限りは、外野手の前に落ちるタイムリー性の安打の場合、二塁走者が三塁に到達する前に体当たりして止めることで「うーん、本塁は間に合わなかったんじゃないかな?」という判断を引き出すチャンスが守備側にあるということを、このプレーは示しているのですから。

しかもその体当たりは、守備側にはほぼリスクがなく、チャンスだけが増える「やり得の妨害」です。だっておそらく審判員は「レフトの返球、本塁に届かないだろ」とか「返球絶対逸れるだろ」とか「タッチ空振りするだろ」といった邪推は加味していないのでしょう?「普通の走塁」と「理想的返球」で見当つけられたのでは走者側は損しかないのです。走者側は毎回ほぼ同じ走塁ができますが(※妨害がなければ)、守備側は毎回ベストなプレーが出せるとは限らないのですから。

なので、これは走者側としての心構えの話になりますが、今回のようなケースでは「減速したとしても、転倒などなく走れる状態であるならば、本塁に突っ込む」のが正解なのかなと思います。本塁まで突っ込んで、ちゃんとできるかどうかわからない守備側の返球をしっかりやらせた上で、実際に行なわれたプレーを基準に「先ほどの妨害の分の不利益を取り除いてください」とやっていれば審判員の見立ても変わったのではないかと思うのです。

生還できたならもちろんセーフですし、生還できなくてもクロスプレーぐらいまで持ち込めれば「さっきの体当たりなければ絶対セーフだわー」「返球逸れてたし体当たりなければ絶対セーフだわー」「タッチの差だし体当たりなければ絶対セーフだわー」と大声で叫んだらいいのです。そうすることで「普通の走塁VS理想的返球」の比較ではなく、「不利のなかの走塁VS実際の返球」の比較に持ち込めるのですから。決して「ウチの打線でそんなに何本もヒットがつづくわけないからダメ元で突っ込め」という話ではなく、「より不利を明確に見せる」ための一般的な技術として、そういうことを考えてもいいのかなと思います。中古車の具合をより明確に見せるために販売店の軒先の街路樹を枯らす、みたいな感じで。

それと、審判員は「すべてのプレーが終わったあと」で判断するわけで、今回の場合は「自ら三塁に止まった」こともプレーの一部だと考えて、走者側の弱気みたいなものを判定に加味しているようにも思います。それを加味するのはオカシイと僕も思いますが、キャッチャーがちょっとミットずらしたらボールをストライクと言ったり、逆に「ミットずらしにムカッときたのでストライクをボールと言う」なんてこともあるんだと噂される世界です。「自ら止まったな、これは間に合わなかったんだろう」みたいなことを審判員が思って、判断に影響を与えたとしても不思議はないだろうと。

そういう意味では不利を受けた時点で立ち止まるのではなく、しっかりとプレーをつづけて「アレがなければ間に合ってたわー」「だって残りコレだけだもん」「距離にして街路樹1本分!」と言う状況をしっかりと作ることも考えていかなければいけないのかなと思います。普通にやると「走塁側の不利益を取り除く」ときに「なお守備側のプレーは理想的に行なわれたものとする」になるみたいですからね。不利を受けたほうはアドバンテージがあるものとして、むしろプレーをつづける。サッカーとかラグビーとかみたいに最後までつづける精神を徹底していきたいものです!

↓ちなみに、走者・栗山には「完全アウトのタイミングでも最後にかわす」という秘策もあるんで、今度はそれも加味してくださいね!




妨害された側がオーバーランでアウトになったら、前の塁に戻せばいいのにね!

「Come to Seattle」の大声援には言葉を濁しつつも、笑顔いっぱいの大谷翔平さんが見られたMLBオールスターゲーム2023の巻。

12:45
Come to Seattle Ohtani-San!

同じ光を放っているはずの太陽さえも一層明るく見える華やかな祝宴、MLBオールスターゲーム。その大舞台に、もはやサプライズではなくごく当然のこととして出場を果たしたのが「世界の日本のスーパースター」である大谷翔平さん。アメリカンリーグ最多得票の選手として堂々の選出を果たした大谷さんは、3年連続3度目のオールスターゲームに臨みました。

今年の会場となるシアトルはT-モバイルパークはかつてイチローさんもホームスタジアムとし、2001年には日本人野手として初となるオールスターゲーム出場、2004年にはシーズン258安打のメジャー新記録に到達したメモリアルな舞台です。そのためか現地メディアも「イチローのオールスターは見たか?」とイチローさんとのつながりを求める質問を何度も繰り返していました。そのたびに記憶にないとつれない返事を返す大谷さん。イチローさんは敬意を持って見つめる先達ではあるけれど、追いかけているものはイチローさんそのものではなく、そのさらに先にある野球の極み…そんな姿がまた誇らしくなるようです。

↓日本人だけでなくメジャーが振り返らずにはいられない伝説のふたり!


↓レッドカーペットに降り立つ世界のスーパースター!

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前日には同じく日本からアメリカに渡り、「ゴーストフォーク」で現地を席巻する千賀滉大さんともご挨拶していた大谷さん。ゴーストフォークってそういう意味なんですか?違いますよね?…という会話はしなかったでしょうが、日本のスターが世界のスターであるとうことが、またしても誇らしい場面です。この日の試合前には千賀さんがMLBを代表する投手・カーショーさんにフォークの握りを教える場面なども見られ、これぞオールスターといった雰囲気も。来年はここに「首位打者獲得(予定)のマッチョマン」吉田正尚さんや、「メジャー最速最恐の男」藤浪晋太郎さんらが加わってくれたら楽しいなぁと思いつつ、これから始まる試合への興奮を高めていきます。

↓今年は大谷さんは投げないということですが、日本からしっかり投打のスターが揃い踏みしました!


試合前のセレモニーは華やかの一言。同じ野球、同じようなことをしているはずなのに、明るくて輝いていて荘厳です。47159人の大観衆が作る静寂のなかで歌われるカナダ国歌・アメリカ国歌と、その静寂から激変して大歓声が沸き起こるスタジアム。上空には戦闘機が展示飛行で飛び、日本にもその名を轟かす往年の大スターたちが始球式をつとめるスケールの大きさは、さすがアメリカだと唸るような光景です。そうした華やかさのなか、癌と戦う少年がダイヤモンドを一周してプレイボールのコールをするというあたりは、まさに「夢の舞台」。今年はWBCで日本野球が世界の頂点にあることを示したばかりではありますが、どれだけ大きな夢を描けるかという点では、まだまだアメリカを追いかけていかなければならないなと改めて思うような世界でした。

↓大谷さんはアメリカンリーグの2番DHとして先発出場しました!


初回、いきなり左翼と右翼でスーパーキャッチが連発するなど、プレーでもオールスターぶりを発揮していく試合。オールスターでは初となるピッチクロックが導入されているほか、野手だけではなくときに投手にもピンマイクをつけて「息遣い」を世界にお届けするなど、試合運営や演出に関しても進化を見せつけてきます。

そんななかで迎えた1回裏、いよいよ大谷さんが打席に入ります。昨年はオールスター初安打も記録し、ホームランダービーでは「ホームラン」も見せた大谷さんですが、オールスター「ゲーム」のなかでのホームランはいまだありません。今季はアメリカンリーグでホームランキングを独走する大谷さんですので、これはもうごく自然なこととして一発を期待したいところ。

初球、かなり打ち気な気配も見せつつの打席ですが、ここは低めの変化球で打ち気をかわしてのスタート。その後も低めへの変化球主体の投球がつづき、まるでシーズン中のような「勝負」が演じられます。「高めにドーンと真っ直ぐを投げるんちゃうんかい!」と言いたい気持ちもありますが、打たせまいとする相手から打ってこそのスーパースター、難しいことをやってこそのオールスターです。フルカウントまでもつれた勝負は、最後は低めの変化球で空振り三振!大谷さんのオールスター初本塁打はお預けとなりました。

↓なお、現地の観衆は「Come to Seattle」の大合唱です!


その後、4回裏に迎えた大谷さんの第2打席では、相手もチカラが入ったかボールが高めに浮き四球に。笑顔で一塁に向かう大谷さんは、ワイルドピッチと犠牲フライで三塁まで進みます。次の塁に到達するたびに、周辺にいる相手選手や味方コーチと笑顔で談笑をする場面も見られ、いたって和やかです。ここは惜しくも本塁まで生還とはなりませんでしたが、試合展開は1-1ということで「一発本塁打でのMVP獲得」だとか、あるいは「千賀さんとの日本人対決」といった夢もまだ残ります。もう1打席あるのかどうかというところではありますが、アメリカンリーグ最多得票の選手ですので、何とか3打席は見せていただきたいところ。次に期待です。

↓アメリカンリーグ最多得票の選手ですから3打席くらい見たい!

この最多得票での選出も日本人としては2003年のイチローさん以来20年ぶり!

ちなみに、ナショナルリーグ最多得票のアクーニャJr.さんは試合前にファンみたいな顔で大谷さんに挨拶していました!

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2打席終えたところで日本の中継が大谷さんと回線をつないで、東京のスタジオと会話する場面も。大谷さんからは「どんどん振りたいなと思っていた」「(第2打席は)最後も振りたいと思っていたけれど結構高かったんで見逃してしまった」「(観衆のコールには)ちょっと複雑な気持ちでしたけど(笑)」「(塁上での会話は)久しぶりという感じと、シーズン中も話すので適当にという感じで」といった話が聞かれ、これもまたオールスターだなと楽しい気持ちになります。ヘッドセットをつけているのだからインタビュー中だというのはわかりそうなものですが、だからこそなのか、背後には前日のホームランダービーで優勝したゲレーロJr.さんが忍び寄って「うんうん」「ふむふむ」といった「わかってる風アクション」で茶化す姿も。「スターも茶化したくなるスター」といったところでしょうか。気づいた大谷さんはトンと胸を小突いたあと、笑顔でゲレーロJr.さんをハグしました。いやー、楽しそうで結構です!

↓どこもかしこも笑顔でいっぱいです!


↓ゲレーロJr.さんはバット投げも披露するなど大暴れでした!


と、さらに期待も高まったところではありましたが、6回裏の攻撃で大谷さんに代打が送られました。これで大谷さんはお役御免となり、オールスターゲームでの初本塁打も来年以降のお楽しみとなりました。ただ、今年も華やかで楽しいオールスターゲームとなったことで、またこの舞台、こういう機会を得てほしいという期待はさらに膨らみました。こうして「また来年のオールスターに期待」と思えるのも、「また来年も出るだろう」という予感があればこそ。改めて大谷さんのスケールの大きさに胸躍るような気持ちです。千賀さんもこの日の出場はありませんでしたが、来年以降は「世界の日本のスター」がさらにこの舞台に集ってくれると期待しつつ、その機会を待ちたいもの。

試合は8回表に逆転ツーランで勝ち越したナショナルリーグが3-2で勝利。MVPは勝利したナショナルリーグから逆転ホームランのディアスさんが獲得し、「最後に残っていた野手が代打して逆転ホームランでMVP」というすごいドラマとなりました。9回まで同点でいけば、最後は「監督指名の打者3人によるホームラン競争で決着」という特別ルールもありましたので、そこまでいけばワンチャンという気持ちもありましたが、そんな都合のいいドラマはさすがにありませんでした。1年に一度、1試合限りの夢舞台、そこで活躍することは途方もなく大変ですし、ましてやMVPなどなかなか期待することさえできませんが、「五分五分くらいでMVPあるのでは?」と思えるスターを抱えて見守れる幸運を胸に、また来年もこの舞台で集えたらいいなと思います。日本のオールスターもこれぐらい華やかな夢舞台になるよう、そちらも楽しみに見守りたいと思います!



来年は投手藤浪VS打者大谷がオールスターで見られたら最高だなと思います!

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婦人公論 2017年 12/27、1/6 合併特大号

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