スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

サッカー

20年ぶりの広島開催に沸くサッカー日本代表のW杯アジア2次予選は夢のKDMスタメン共存により史上初の無失点全勝を達成の巻。

08:00
K・D・M!K・D・M!

昨晩は「きっと勝つだろう」と思って心地よく見守れるホッコリ試合、サッカーワールドカップアジア2次予選の日本VSシリア戦を見ておりました。スマホには並行して行なわれている「どうせ負けるんだろうな」のギスギス試合であるプロ野球埼玉西武ライオンズの試合も映っておりましたが、50:950の割合で心はサッカーに集中していました。

何故かと言えば、この試合のスタメンにはあの「KDM」が揃い踏みしていたからです。久保建英さんのK、堂安律さんのD、南野拓実さんのM、この3人が日本代表戦で3人同時にスタメン出場するのは何と初めてのことだと言うのです。「そ、そうなんだ」「3人並べろなんて誰か言ってたっけ?」「DAI語かと思った」など期待の声で日本は沸き返っていました。これは西武の試合など見ている場合ではありません!

↓KDMが初のスタメン共存!よくわからないけれど見逃せない!


ワールドカップ開幕を2年後に控えたこの日。すでに2次予選突破は決定していますが、この試合にはKDMをはじめとして遠藤航さんや冨安健洋さんをも含めた「ベストメンバー」と言える強力布陣が集いました。いよいよ森保監督も本気を見せてきたなと唸るしかない顔ぶれ。会場となる広島県はエディオンピースウイング広島には、その本気に呼応するかのように大観衆が詰め掛け、20年ぶりの日本代表戦広島開催を盛大に祝っています。放送席には小野伸二さん&松井大輔さんの豪華解説陣、スタンドには募金活動のために駒野友一さんも駆けつけてくれました。まさに「日本集結」といった様相。もはやこれはアジア2次予選などではなく、世界の0次予選とでも言うべき試合です。

大歓声のなかで始まった試合。日本はまずは3バックの布陣で臨みます。攻撃時にはセンターバックの両翼である冨安健洋さんと町田浩樹さんも積極的な上がりで攻撃に加わっており、かなり攻撃を意識したシステムである模様。美しい連携とボール回しが小気味よく、シリアはボールに触れることもできない時間がつづきます。開始5分で早くも「今日は勝つな」と確信できるくらいに日本の動きは冴えています。

そんななか中継側もこの歴史的な試合を盛り上げねばならないと使命に燃えていました。前半6分過ぎ、突如として画面右上隅に表示された「初のスタメン共存!久保・堂安・南野 #KDM」の字幕。あまりに突如のことだったのでしばし呆然としてしまいましたが、どうやらこのハッシュタグで歴史的なスタメンについて熱く語ってくれ、というメディアからの提案であるようです。もしかしたら事前にインフルエンサーにお金配って「タイミング見て#KDM使ってくださいね」くらいの盛り上げ施策も裏で走っていたかもしれませんが、ウチにはその提案は来なかったので自主的に使うことにしました。

↓日本がKDMを待ち望んでいた!SNSでは#KDMが小流行!

「ついに#KDMを使うときが来たか」
「あぁ、待望の#KDMだ」
「NMDトリオ以来の夢、だな」
「死ぬまでに#KMDを見られてよかった」
「この三本の矢は世界を貫く」
「世界よ#DKMに震えるがいい」
「KDM!KDM!」
「DMM!DMM!」
「TDK!TDK!」
「TKG!TKG!」
「KDDI!KDDI!」

ハッシュタグで検索してはいけないぞ!

知らないボードゲーム「キングダムデス:モンスター」とかが多めに出てくるから!



KDMの躍動のもと試合が動いたのは前半13分。Kがプレッシャーを掛けたところからチームの連動でボールを奪うと、ボールを受けたMが中盤から持ち上がり、左サイドに展開。そして、中村敬斗さんのクロスから最後に飛び込んだのは上田綺世さん!ゴール前を制圧する高い打点のヘッドは、クロスバーを叩いてシリアゴールへ。この流れで得点者がKでもDでもMでもないことには若干スッキリしない感じもありますが、日本早くも先制です!

↓ゴールを決めたUにDとKが駆け寄り笑顔の抱擁!

この流れなら言える!Iは元気かな!

Iはワールドカップに間に合わないかもですね!

解決まで時間掛かりそうだし!


勝たなければ予選突破が厳しくなるシリアは先制を許したことで前掛かりになってきますが、むしろこれは日本にとって追加点のチャンスか。素早い展開から左サイド中村敬斗さんまでつなぐと、相手は止めることができずにズルズル後退してはチャンスになることの連続。このベストメンバーにおいてほんのり寂しさを覚える三笘薫さんの不在すらも、埋め合わせて余りある躍動ぶりです。

そして迎えた前半19分。相手の攻撃を跳ね返したところからKがドリブルでカウンター気味に持ち上がると、右サイドに開いたDへ!Dは左足に持ち替えると鋭く振り抜いてゴールネットにズドン。左から右から攻撃を繰り出す日本の前に、シリアはなす術もありません。

↓申し遅れましたがDさんご結婚おめでとうございます!


↓その直後の前半22分にはKのパスを相手が自ゴールに蹴り入れて日本3点目!これは実質Kのゴール!


野球並みに得点が生まれる景気のいい試合に、心が荒んだ埼玉西武ライオンズファンあたりも「サッカー見よう」「コッチのほうが気分いい」「西武なんてこの1週間で6点しか取ってないぞ」とチャンネル移動で集まってきたことでしょう。その後も美しくて鋭い攻撃を連発する日本は、前半28分には上田さんがエリア内のターンで相手を剥がしての強烈なシュートを放てば、前半32分には左サイド中村さんからMへつないでの鋭いシュートと、美しくて惜しい攻撃を連発。さすがに追加点までは生まれませんでしたが、日本はしっかりと試合を進めて前半を3-0で折り返しました。もはやあとはMが得点を決めるだけ、という完璧な前半でした。

ハーフタイムには槙野智章さんがナレーションをつとめる映画「ツイスターズ」の特別CM映像を流す余裕もある日本。「この夏、巨大竜巻と人類の熱いバトルが開幕します!」「圧倒されるデカさ!」「竜巻に挑む人類の姿には大興奮しっぱなしでした!」などのメッセージで大作パニック映画をB級コント映画みたいに見せてくる槙野さんはさすがの一言です。最終的に「絶対に負けられない戦い開幕!」の字幕が出た段階には、僕も「面白そう!」と思いましたよね。ゲラゲラ笑って夏の熱さを吹き飛ばしましょう!

↓「んなアホな」「無茶やでぇ」「逃げればいいのでは?」みたいなツッコミが冴えそうな映画だと思います!


ダメだって!槙野さんの読ませたら全部面白そうにしちゃうんだから!

竜巻チェイサータイラーとか完全にコントの顔だし!



迎えた後半、日本は前半だけで満足するチームではありませんでした。このあたりが「世界の0次予選」という意識でしょうか、前半大活躍の中村さんはお役御免として、システムを4バックに変更してきたのです。システム的に相手と噛み合う布陣になったことで前半ほど鮮やかな突破というのは少なくなりますが、それでこそ実戦でトライする価値があるというもの。ベストメンバーが集った公式戦で、勝利を確定させたうえでなおトライができるというのは、素晴らしい強化の時間です。

システム変更への対応もスムーズな日本。後半15分には右サイド端からKがクロスを送ると全員飛ばした逆サイド大外で待ち構えるMが惜しいヘッドを放ち、つづけざまの後半17分にもKからMのホットラインでサイドネットを揺らすなど、しっかりと攻撃の形を作っていきます。残念ながらここでKが交代することになり夢のKDM共存は終わりを迎えますが、いい場面の連発で今後に向けてもいい手応えを得たのではないでしょうか。

↓後半23分のM⇒上田さんのシュートには解説の松井大輔さんも「プレイステーションみたいでしたね」と激賞!


↓さらにセンターバックの板倉滉さんはいろいろあって組体操風の逆立ちをすることに!

競り合いで相手の背中に乗ってしまって前に落ちたらこうなりました!

シリア戦だけに尻上がりですね!


後半27分には、前半・中村敬斗さん&後半・相馬勇紀さんの突破に苦しめられてきた相手の右サイドバックがついに対応できなくり、日本にPKを献上してくれました。PKをもらった相馬さんが自ら決めてこれで4点差。その後もセットプレーでデザインプレーを試してみたり、後半30分過ぎにはゴールキーパーも交代して貴重な出場時間を新たなメンバーに分け与えてみたりと、日本は無駄なく充実の強化時間を過ごしていきます。

そして、そして、ついにやって来た歓喜の時。後半40分、左サイドでの揉み合いからボールを奪った日本は、Mがこぼれ球をさらうと右足でゴール隅に流し込みました。ひとつオウンゴール扱いになったものこそありますが、史上初のKDMスタメン共存試合でKDMがゴールにつながるプレーで揃い踏みするという、まさに歴史的な一戦ではありませんか。今後の最終予選、本番へ向けても「KDM」という切り札があることは日本にとって大いに自信となることでしょう。ありがとうKDM!すごいぞKDM!

↓わずか2時間で「KDM」が希望の合言葉になりました!

日本サッカー史上初の2次予選無失点全勝をKDMが決めた!

Kこれで、D大丈夫だな、M森保JAPANは!



新しいスタジアムで本気のメンバーが集い、華々しい攻撃と充実の試合内容、そのうえ試合途中には板倉さんの組体操逆立ちみたいな誰も傷つかないただただ面白いだけの名場面も生み出した会心の一勝。森保監督が広島の地で勝利の挨拶をするところまで含めて出来過ぎ以上の試合となりました。パリ五輪でのメダル獲得(※願望)を経て若き日本代表が合流してくればさらなる充実も見えてくるはず。アジアカップでは「ん?」という雰囲気も若干ありましたが、これで堂々と最終予選に乗り込んでいけそうです。当然の予選突破、そして世界のベスト8以上へ、楽しみが広がる一戦でした!


素晴らしい選手がいて、それをアレコレ組み合わせることの喜びを感じました!

全試合複数得点&無失点で決勝まで来たウズベキスタンを1-0で退け、若き日本代表がアジア王者として堂々パリ五輪出場の巻。

08:00
パリでのメダルへ大きく前進!

当初はどうなることかと思ったサッカーU-23アジアカップでの若き日本代表の戦い。無用なヒジ打ちによって初戦で試合の大半を10人で戦うことになったとき、負けたら終わりのカタール戦で試合後半に逆転を許したとき、「あっ…」と思う瞬間は幾度もありました。しかし、終わってみれば文句なしでアジアナンバーワンの座を手に入れました。カタール、イラク、そしてウズベキスタン。アジアの難敵をことごとく退けての優勝は大目標であるパリ五輪でのメダルに向けても大きな大きな前進でした。

この大会の優勝国から順にアジア代表の1枠目・2枠目…と入る仕組みに定まったことで、優勝の日本はパリ五輪の一次ラウンドでパラグアイ、マリ、イスラエルと戦うことになりました。この決勝で負けていた場合はスペイン、エジプト、ドミニカだったことを考えると、与しやすいとまでは言いませんがグループ1位抜けも十分に狙っていけそうな組み合わせになりました。「またスペインをボコれるのかー!楽しみ!」と期待していた部分もあったので少し寂しくもありますが、まぁお楽しみは決勝トーナメントに取っておきましょう。

↓U-23日本代表、堂々のアジア1位でパリ五輪に出場!

やっぱりゲッツがアカンと思いますね!

どうやってもゲッツがいるとチョイダサになる気がします!



この日の決勝の相手は近年アジアの若年代の大会で目覚ましい結果を残しているウズベキスタン。高い攻撃力と今大会ここまで無失点という固い守備で、圧倒的に勝ち進んできました。日本の反対側の山は制圧した、と言ってもいいレベルの勝ち上がりぶり。ということは、カタール・イラクを撃破して上がってきた日本がウズベキスタンに勝てば、紛れもたらればもなく日本こそがアジアナンバーワンということです。

立ち上がり、前から強くプレッシャーをかけてくるウズベキスタン。引いて構えるようなところはまったくなく、日本ゴールに迫ってきます。そのプレッシャーによるものか、日本は自陣でのパスを不用意に相手に奪われる場面がいくつかあり、ややヒヤリとするところも。ただ、今大会を通じて非常に安定していたゴールキーパーの小久保玲央ブライアンさんが、素早い飛び出しでのクリアや、ブレ球に対する堅実なキャッチングなどで「ヒヤリ」以上には進ませません。「ザイオン」をトレンド入りさせたチカラ、伊達ではありません。

日本は攻撃時に4-1-2-3の形で、相手が4-2-3-1の形であることから、ほぼマンツーマンで相手選手とマッチアップする配置となり、やや中盤での組み立てに苦労する場面も。前半28分には相手のボール回しを追い詰めたところからシュートまでつながる場面も作りましたが、それも散発的なもの。我慢比べのなかで隙をうかがうような時間がつづきます。前半の終わり際はウズベキスタンの連続攻撃を浴びるなど苦しい時間帯となりましたが、それも凌ぎ切ってまずは0-0での折り返し。後半に向けては、このまま我慢比べをつづけるのか、あるいは何か手を加えるのか、大岩剛監督の動きも気になる前半戦でした。

↓クロスバーに当たるボールもしっかり小久保さんが見送ったうえでの直撃で不安ナシ!


迎えた後半、両チームともメンバー変更はなく、布陣もどうやら変更はなさそう。日本はより高い位置から連動したプレッシャーを掛けており、狙いどころについては整理をしてきた模様ですが、まずは「見」といったところ。そして、相手のハーフタイムでの変化を見定めたうえでカードを切っていこうという構えでしょうか。

日本が動きを見せたのは後半17分、松木玖生さんと藤尾翔太さんに代えて平河悠さんと荒木遼太郎さんを投入し、両サイドにフレッシュな攻撃の選手を入れて打開を図ります。さらに後半26分には山本理仁さんと佐藤恵允さんに代えて川崎颯太さんと山田楓喜さんを投入し、これで中盤から前はキャプテン藤田譲瑠チマさんとエース細谷真大さん以外は全員入れ替えという形に。さらに一度投入した選手の位置を動かすなどもしており、布陣は変わらないなかでも局面でのマッチアップはだいぶ変わりました。先手先手の仕掛けで前半よりはグッと攻撃もスムーズになっていきます。

試合が終盤へと向かっていくなかで、疲労によるミスや選手間の距離の開きなども生まれ始め、互いにチャンスにつながるケースは多くなります。そうした攻防のなかの後半31分には、日本が前線に長いボールを送ったところで、荒木遼太郎さんと飛び出してきた相手GKが交錯する場面も。荒木さんは相手のヒジ打ちに加えて、倒れた際に芝生で顔面を打っているようにも見える危険な倒れ方でした。あるいはここで交代も、と心配されましたが荒木さんはそのままプレーをつづけます。

すると、その荒木さんも絡む形で、ついに試合が動きます。アディショナルタイムに入った後半46分、センターバックの高井幸大さんがタイミングよい飛び出しで相手のボールを奪うと、そこからヒールパスで藤田譲瑠チマさんに渡し、藤田さんからパスを受けた荒木遼太郎さんがまたヒールで山田楓喜さんにつないで、最後は山田さんのシュートがゴールへ!美しい連携に始まり、相手守備2人の股を抜いてGKの逆を突くシュートまで、徹頭徹尾ビューティフルなゴールで日本先制!

↓今大会無失点のウズベキスタンのゴールを日本がこじ開けた!


これで勝てるだろう…と思った日本の前に大きな試練が訪れたのは後半50分。ゴール前にクロスを送られた場面での競り合いで日本選手の手にボールが当たり、それがVARの末にPKと判定されたのです。ジャンプの際に広げた手に跳ね返りのボールが当たったもので、故意に触ったわけではない印象ですが、映像を見ると手で止めにいったように見えなくもありません。うーん、VARで見ると大体PKに見えるので、この判定は致し方ないところ。

ただ、日本には今大会素晴らしい輝きを放った守護神がいます。好セーブのたびに「ザイオン」をトレンド入りさせてきたゴールキーパー・小久保玲央ブライアンさんが、この大ピンチにまたしても大仕事をやってくれました。お世辞ではなく素晴らしいコース…決まっていればサイドネットに突き刺さっただろう相手のシュートを、小久保さんが見事にストップしたのです。日本を救うこのビッグセーブには「小久保玲央ブライアン」と「ザイオン」が同時にトレンド入りするのも納得です!

↓よく止めた!よく止められた!日本をアジア1位に導くビッグセーブ!


残念そこは小久保玲央ブライアンだ!

「そこ」はゴールの端から端まで全部だ!



なおもつづくウズベキスタンの猛攻。それを跳ね返す日本の粘り強い守備。後半58分には先ほど強い接触があった荒木さんがピッチに倒れ、担架で運ばれていきました。日本はすでに交代枠を使い切っており、ここからは10人での戦いとなります。感極まった小久保さんの目にはひと足早く涙が浮かんでいますが、アディショナルタイムのなかのアディショナルタイムがまだあります。表示の11分を大きく超えて15分、16分とアディショナルタイムは延びていきます。長い、長い、長くてじれるアディショナルタイム。そして、アジアの笛が日本の勝利にようやく納得したのは、アディショナルタイム17分台に入った後半63分!

↓日本勝利!ここまで全試合複数得点&無失点のウズベキスタンを倒してアジアナンバーワン!


↓優勝カップを掲げる歓喜の日本!

荒木さんは自ら歩いてピッチを退いたようですが、大事を取って表彰式は欠席でした!

その代わり、荒木さんのユニフォームをともに鹿島で過ごした山田大樹さんが着て表彰台へ!

若き日本代表が見事アジア王者になりました!



試合を重ねるなかで成長したチームが、準決勝・決勝で一番いい試合を演じて優勝するという素晴らしい大会。結果はもちろん、経験としても大きな収穫を手にすることができました。何事もなくスムーズに切符を手にしていればそれはそれでハッピーですが、こうした苦戦や苦闘があっての優勝のほうが、本番にもつながるというもの。「あの苦しい試合を勝った」「あの苦しい大会を勝った」という自信を胸に、パリで大きな目標に挑んでもらえたらと思います。「すぐにA代表で見たい」ような選手も含むこのチームから厳選して、さらにオーバーエイジでA代表の選手を加えたら、かなりいい感じに仕上がりそうで今から本番が楽しみです!


「出られないかも」と思ったチームが「メダルかも」と思うチームになりました!

負けたら終わりの一戦に臨んだU-23サッカー日本代表が、負けそうになりつつも相手のライダーキックに救われてパリ五輪へ王手の巻。

08:00
サッカー日本代表のパリの灯は消えず!

いやー、背筋が凍るような厳しい試合でした。パリ五輪出場を目指すU-23サッカー日本代表が、アジアに与えられた「3.5枚」の切符獲得を目指しているU-23アジアカップ。負けたら終わりの準々決勝は開催国カタールとの対戦でした。フル代表は2大会連続でアジアカップを制しているアジア最強国の一角カタールと、負けたら終わりの一戦を戦うというシチュエーション、熱い、熱過ぎる戦いです。

しかし、そのシチュエーションほどには盛り上がりを見せていない国内。この日はNHK総合での生中継がありましたが、「国営放送の気持ちで一応やります」くらいの構え。直前ギリギリまで夜ドラ「VRおじさんの初恋」を放送し、23時キックオフの試合を23時から中継開始するというドラマ配慮型中継です。煽りVTRも国歌斉唱もなく、VRおじさんがイチャついたLINEを送信した場面からいきなりカウントダウンに切り替わってキックオフするという、激し過ぎる始まり。

その激しさは試合にも連鎖したのか、まだ実況と解説が「相手は5バックでしょうか…?」みたいな選手の並びを確認している段階でいきなり試合は動きます。開始わずか2分、カタールから日本にプレゼントのようなパスが渡ると、カタールはそこに慌てて詰めていくでもなく、ゆるゆると進出する日本の山田楓喜さんの動きを見送るばかり。そして山田さんが左足を鋭く振り抜くと、逆を突かれたゴールキーパーは動くことすらできないままゴールにズドン。まだ頭のなかで「えっ?VRおじさん次回はお泊りなの?」と困惑している間に、日本の先制点が決まりました!

↓これは、どうも、ありがとうございます!決めた山田さんもナイス!



しかし、ここから試合はなかなかにハチャメチャな動きを見せていきます。まず前半24分、カタールは両サイドを大きく使う攻撃から、長いクロスをゴール前に送ると、そこに飛び込んだ19番のラウィさんが素晴らしいヘッドで同点弾を叩き込みます。放送席からも「あのクロスからこんなにすごいヘッドが飛ぶとは思わなかった」と感嘆の声が漏れるほどの美しくて強い弾道。さすがアジア最強国の一角・カタールと、こちらも背筋が伸びたもの。

↓このヘッドは敵ながらお見事でした!


同点になってさぁここからが本番だ…と睨み合うわけですが、熱いシチュエーションと激しいぶつかり合いのなかで、じょじょに試合はヒートアップしていきます。そして、互いにイエローをもらい合う展開のなかで迎えた前半41分、試合を大きく動かす出来事が。何と、カタールのGK・アブドゥラーさんがエリアから飛び出してヘディングでクリアをしようとジャンプしたとき、走り込んでくる日本選手にライダーキックを放ってしまったのです。

まぁ好意的に解釈するならヘディングするときに身体をねじった勢いで足が伸びたのだろうとは思います。また、サッカーでは飛ぶべきタイミングで飛ばなかったりすると、飛んでいる相手に下から当たるのは危ないということで「飛んでいないほうの選手がファウル」を取られたりすることもあります。決して「喰らえ怪人!」の気持ちのキックではなく、不幸な接触ではあったのでしょう。しかし、どのタイミングのどういう接触であろうが、さすがにライダーキックを放てばファウルです。主審のインカムにもVARから「ライダーキックでしたよ」という連絡が入ったのでしょう、ビデオを改めて見直しますとカタールのGKは一発レッドカードに。カタールは残り時間10人での戦いとなったのです。

↓これはやっとんなぁ!やっちまっとんなぁ!アブドゥラーキーック!



こうなれば当然日本は数的優位を活かして得点を奪い、きっちりと勝ち上がりを決めたい、決められるだろうと思うところ。日本は前半にイエローカードをもらっていた松木玖生さんを後半頭から藤尾翔太さんに交代するなど、早めの積極的な動きを見せていきます。ところが、思い通りにいかないのがサッカー。後半4分、カタールにフリーキックを与えると、これが再び見事なヘッドで得点につながります。滅多に見られないほどの美しくて強いヘッドが、2本とも決まってしまうまさかの展開。負けたら終わりの一戦で「残り40分ほどで、負けている」状態になってしまったのです。

その瞬間、ざわわっと背筋が凍るような気持ちに。負けたら終わり、と理解して臨んだ試合ではありますが、何となく心のどこかで「でも最後はいけるんでしょ?」と思っていました。アトランタ五輪で重たい扉をこじあけ、まだ五輪に出ただけなのに国民的ヒーローが生まれた熱狂の時代から約30年。7大会にわたってずっと五輪に出つづけてきた日本男子サッカーが五輪に出られないなんてイメージは、正直なところありませんでした。頭では理解していても、何となく、何とかなっちゃうんだろうと思っていたのが本心です。

しかし、そんなことは、ないのか?

もしかしたら、五輪に、行けないのか?

本当に、五輪に、行けないのか?

震える手で祈るポーズを作りながら「サッカー負けたらバスケとバレー見るんだ…」と震える僕の脳裏には走馬灯のように今大会の記憶が甦ってきました。初戦の中国戦で西尾隆矢さんがいらないヒジ打ちで退場になり、この試合もまだ出場停止中であること(←長いな)。安定感あるプレーぶりとビッグセーブを見せたGK小久保玲央ブライアンさんが「ザイオン」をトレンド入りさせたこと(←もちろん悪い意味でだぞ)。「負けたら準々決勝でカタール戦」とわかっていた韓国戦で大胆なターンオーバーを敢行した末に、セットプレーの1点に泣いた大岩采配のこと(←もちろん大岩剛がトレンド入り)。「松木」を連呼しながら松木玖生さんを讃えていた松木安太郎さんのこと(←元気そうで結構)。そのすべてが消えていくのか。このチームの冒険はここで終わるのか。

初めて「日本が五輪に行けない」を現実として感じました。後半22分にコーナーキックから木村誠二さんがゴールを決めて同点に追いつくまでの20分弱ほどの時間は、さして長くはない時間でしたが、何十年かぶりの危機感を覚える長くて悪い夢の時間でした。何となくパリ五輪に行けるんだろうと思っていた自分にも、ようやく火が点くような時間でした。もしかしたらこの時間はチームにとっても、日本にとっても必要なものだったのかもしれないなと思います。何となくではなく、絶対に行くという意志をもう一度確認するための時間として。

↓相手が倒れて1人外に出ている隙にコーナーキックを蹴って決めた!11人対9人の数的優位を逃さない勝負師のゴール!


セットプレーで得たリードを守り切るプランは崩れたカタール。ひとり少ないなかで5-4のブロックを作り、何とかPK戦まで粘ろうと懸命にゴール前を固めてきます。日本は右に左に展開しながらアーリークロスを放り込みつづけます。決して効率がいい攻めではありませんが、クロス、跳ね返す、数的優位を活かして回収する、クロス、跳ね返す、数的優位を活かして回収する…と無限につづく地獄。解説の太田宏介さんは「ジャブを打ちつづけろ」を決めゼリフにすることを決意したようで、ボクシングのトレーナーみたいにジャブジャブ言いつづけます。

交代のカードを切って耐えるカタールと、交代のカードを切って攻める日本。カタールは数的不利を耐えるために懸命に動きますが、体力の消耗は激しく、隙あらばピッチに倒れ込みます。倒れては起き上がり、ケンケンしながら守備に戻り、ひとつクリアしてはまた倒れる…カタールはもはや前に出てくるチカラはなさそうです。あとは日本が決められるのか、決められないのか、だけ。延長戦までかけて勝ち越し点を決められなければ、日本はきっとPK戦で負けるでしょう。そういう流れの試合です。はたして日本にこじ開けるチカラはあるのか。

そして迎えた延長前半11分、日本の社会人が「明日仕事なんだよ〜」と嘆きながら見守る真夜中に、今大会いいところがなかった点取り屋が、ついに大事なゴールを決めました。スタメンに起用され、延長前半まで実質120分程度を走りつづけてきた細谷真大さんがゴール前の狭いところでパスを受けると、出足の鈍いカタールのDFを背中で弾き飛ばして貴重な勝ち越し点!この世代のエースが、やっと決めた!

↓この世代のエースと呼ばれる男が、ようやくエースの仕事で決勝点をゲッツ!





もうカタールにチカラは残っていません。チカラは残っていませんが、負けたら終わりなのですから前に出ないと仕方がありません。日本はその状況を理解して、遠くで遠くで緩やかにボールを回し、カタールを引きずり出す動きも見せました。ジャブの連打のあとはアウトボクシングという嫌らしさが頼もしい。そして延長後半7分にはコーナーキックからさらに突き放すゴールも決め、これで勝負アリ。最後に大岩監督が前に出過ぎたか何かでイエローカードをもらっていたのはご愛敬でしたが、厳しい試合を勝ち抜いてパリ五輪に王手です!

↓素材重ねとけ感は否めないコラージュですが、公式からもお祝いをいただきました!


これでパリ五輪まであと1勝。劇的な勝利にチームは沸いているでしょうし、細谷さんは目覚め、準決勝には西尾さんも帰ってきますので、ここからさらに上がることはあっても下がることはないでしょう。難敵カタールを退け、もはや五輪の切符は半ば手のなか。あとはしっかり握って持って帰るだけです。一時はどうなることかと思いましたが、逆にこれぐらいヒヤヒヤするほうがよかったのかもしれませんね。ハチャメチャ試合で心配されながらも何やかんやで行くところまでは行く、ジーコイズムみたいなものを久々に感じました!ハチャメチャのままパリまで行っちゃってください!


「自分たちで難しい試合にする」劇場型の代表として、次戦も期待しています!

最近何故か北朝鮮で試合ができなかったのは「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」感染拡大への憂慮によるもので、コッチが悪かった件。

08:00
そうか、こっちが悪かったのか!

本日は日本に住む者のひとりとしてお詫びから始めたいと思います。お詫びの内容は「すってスマン」でも「知らんかったんやスマン」でも「さっきの話は全部言い間違いだったスマン」でも「大規模窃盗してスマン」でも「信じ過ぎてスマン」でも「あれだけ日本一の投手と前振りしておいて初回5失点KOされてスマン」でもありません。我が日本で、致死率が3〜7割と極めて高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が増えている件についてのスマンであります。

2023年12月17日現在の状況として国立感染症研究所が報告した内容によれば、2023年は過去6年間のなかで2番目に症例報告数が多く、その数は340例にものぼったと言います。届出時死亡例も97例が報告されており、特に50歳未満においては届出時死亡の割合が2023年7月以降30.9%と増加したのだとか。国立感染症研究所も「さらなる感染拡大が懸念されることから、周知が必要」としており、非常に憂慮される状況だったのです。

なるほど、我々は勝手に、日本は世界でもトップクラスに衛生的で、人々が健康元気に暮らす長寿大国であるからして、何かヘンなものが日本に入ってくるリスクはあってもコッチから相手方への危険性は何もナイだろうと、聖域か何かのように思い込んでおりましたが、今我々の足元では未曾有の危機が静かに進行していたわけです。この感染が雪だるま式に拡大していけばあっという間に数万・450万・6億7500万という数になりかねない…と心配になる向きは当然あるでしょう。自分たちが元気だからと言って、その地域が安全とは限らないのは自明のことです。

そのようななかで我々は東京・国立競技場でサッカーワールドカップアジア2次予選第3節の北朝鮮戦を開催してしまいました。我々としては特段気にするところなどなく、「●●●●さんはおりませんが、とにかく明るい長友佑都さんを呼んでおきました!」などとノンキに構え、お祭り気分でおりました。「ドジャースの試合が東京ドームならそっち行くけど、ドジャースは韓国だからサッカー日本代表でも見るか!」という多くの観衆によってチケットも完売し、国立は大盛況でした。

しかし、この試合自体が「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が感染拡大するなかでの大規模スポーツイベント開催ということで、世が世なら無観客試合でもおかしくはない、大変な憂慮のなかでの試合だったわけです。知らなかったこととは言え、自分の住んでいる地域のことについて知らないなどという話が通じるはずもありません。大変なご心配をお掛けしていることに深くお詫びせねばならないでしょう。どうも、すんません。

↓開催しちゃったうえにチケットが完売してしまってすんません!



そのようにまったく危機感のない日本と、仕方なくお越しいただいた北朝鮮さんとでは、あのような試合になるのも詮無き事。前半の2分、まだ立ち上がりのモチャクチャすら終わらぬ時間帯に日本は田中碧さんのゴールで先制しました。3月とは思えない肌寒さのなか、免疫力低下のリスクを冒して集った観衆も、この瞬間は確かに熱くたぎったものでした。調子に乗って「日本の3-0勝利に50万ドル!」「追加で日本の5-0勝利にも50万ドル!」「支払いはクレジットでお願いします!」くらいの電話を掛けた人もいたかもしれません。

しかしその後、前田大然さんや堂安律さんがいくつかのチャンスを生み出しはするものの、大筋で停滞する試合。勝っているものだから無理をする必要のない日本と、日本の守備を打ち崩すというほどではない北朝鮮の攻撃とが噛み合い、チャンスもゴールもなければピンチもザイオンもないという展開に。「うわードジャース初回で0-5」「さらに点差広がって2-9」「と思ったら6-9になった」「おいおい11-12で1点差まできたぞ」「八百長みたいな試合www」などと盛り上がっている野球界隈とは大違いです。

北朝鮮唯一の見せ場であった後半2分のネットを揺らしたシーンも、直前にファウルがあったとかでゴールは認められず。北朝鮮側は主審に詰め寄って抗議しますが、この試合はVARがないということもあって判定が覆ることはありません。試合終盤には日本側が選手交代をきっかけにシステムを3バックに変更し、最終ラインを5枚で守って「今日はもう何も起こさせない」という姿勢を見せると、最終盤にはボールをのんびりとまわす場面さえも。終わってみれば開始2分のゴールで決着する1-0の勝利は、とにかく勝って終わったことは日本としてはよかったものの、風邪を引かないように気をつけたい一戦となったのでした。

↓田中碧さんの「持ってる力」は健在でしたが、試合ハイライトはこれぐらいでした!


そして、そのような停滞気味の試合以上に、「憂慮」について我々が真に自覚したのは試合後のことでした。日本サッカー協会の田嶋会長が明かしたところによれば、26日に平壌で開催を予定していた同じ顔合わせでの試合について、北朝鮮側から開催できないとの申し入れがあり中止になったと言うのです。ハーフタイム中には2戦連続での日本開催という「肩代わり」の提案まで受けたとのことですが、どうもその理由というのが「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」感染拡大への憂慮であるらしいのです。嘘みたいな話ですが、本当に。

最近何かと引っ掛かっていたサッカー日本代表の平壌遠征できる?できない?問題について、これまでは「入国したあと出国することは本当に可能でしょうか?」とか「そちらに入国するとアメリカとかに渡航できなくなりそうで心配なのですが…?」とか「そもそもサッカーをする前に解決すべき問題があるはずだ」とか「ははーん?衛星の打ち上げ場を見られたくないんだな?」などと200%の他責気分で困り顔をしていましたが、実は本当の問題はそこではなかったのです。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の感染拡大地域である日本へ遠征するリスク、その地域からの渡航者を受け入れるリスクに対して、相手方が神経を尖らせていたというのが実態だったのです。

そうとも知らずにノンキにAFC調査団を派遣して「現地は一応試合できそうだなヨシ!」などと言っていたとは、恥ずかしくて僕も北に枕を向けて眠れません。先日の女子サッカーなでしこJAPANのパリ五輪予選の際も、サウジアラビアまでご足労いただいたことにお詫びするでもなく、リスクを冒して国立競技場まで来ていただいたのに、お礼の言葉のひとつもなく「日本の応援100%の内容だけどドローンショー見られてよかったですね!」などと内心で思っていたなんて、今すぐESPNの単独取材を受けて内心の罪を告白せずにはいられない心境です(←言うことがあとでコロコロ変わりそう)。

↓そうか、こっちが悪かったのか!不浄の地でスマン!


↓言われてみれば確かに向こうは厳戒態勢でした!


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まぁ日本目線では「いくら何でも大げさな」とは思いますが、東京五輪の際に「外国選手が入国したら新型ウイルスを持ち込みそう」「有観客なら感染爆発の恐れ」「バブルの外に一歩も出るな」「勝手に東京観光してたら資格停止にしろ」などと大真面目で言っていた日本ですので、自分たちにそうした疑念の目を向けられたとしても致し方ないというものでしょう。自分たちは日本を無条件で信じていたとしても、他国が無条件に日本を信じる筋合いなどないのです。疑うのはお互い様。東京五輪の際は入国前14日間の行動記録を提出させたりしたわけですから、コチラもそれぐらいの態勢で身の証を立て、相手の憂慮を解きほぐすべきでした。気が回らず本当にスマンことです。

今回についてはとにかく何とか代替開催地を探すとして、今後についてはご提案にもありましたように、全部日本開催でやらせていただくのがよいかもしれません。ホーム&アウェーという概念からは多少離れますが、最初に1点差し上げるとか、そちらのサポーター席以外は無観客にするであるとか、日本ではテレビ中継をしないであるとか、できる範囲でアウェー感を演出させていただきますので前向きにご検討いただければ幸いです。

もしそれでは釈然としないようでしたら、今年の夏頃にでも「ワールド・フレンドシップ・ゲームズ」とかいう日本が参加しなそうな大きめの国際大会が世界のどこかで開催される予定だそうなので、よろしければそちらメインでの活動もご検討いただければと思います。パッと見たところサッカー系の競技はビーチサッカーしかなさそうでしたが、そちらはメダルも金メッキではなく賞金も出るそうですので、やり甲斐も大きいのではないかと思います。やっぱり金を懸けて戦うこと以上に熱い試合はありませんからね。金よりも金、名誉よりも金、金・金・金。ぜひご検討ください。このたびは身から出た錆でご心配をお掛けして申し訳ありませんでしたァッ!

↓さすがに不戦勝にしていただくのは気が引けるので、何とか試合したいですね!

もし会場のアテがあるなら早めに教えてくださいね!

3日前に「サウジ来い」とか言われると慌ててしまうので!



コッチもスポーツくじ売りたいし買いたいんで、試合だけはやりましょう!

なでしこJAPANパリ五輪へ!大観衆とドローンとホーム国立競技場の後押しを受け、日本と被災地に「金」を届ける挑戦権獲得の巻。

08:00
なでしこJAPAN、パリ五輪出場決定!

28日に行なわれた女子サッカーのパリ五輪アジア最終予選北朝鮮戦。僕も現地で応援の気持ちを届けた大一番で、サッカー女子日本代表なでしこJAPANは見事に勝利し、パリ五輪の出場権を獲得しました。いろいろなことがドタバタする苦しい最終予選でしたが、ホーム国立まで五分で戻って来てくれさえすれば何の問題もありません。熱い声援と手厚いサポートを受けての見事な勝利。大目標・金メダルへの挑戦権、無事に獲得です!

↓「ワールドカップ優勝のスペインに勝った日本」のチカラを示しに行きましょう!


試合前、情勢は若干雲行き怪しい雰囲気でした。アウェー扱いであるとは言え「実質中立地」で行なわれた第1戦で2失点くらいしていても不思議はないような試合内容でのドロー。しかも第2戦はホーム扱いであるはずなのに、チケット販売は奮わず、熱烈なサポーターが陣取るゴール裏エリアに限って言えば「北朝鮮側のほうが売れている」という状態。

JFAが「助けに来てください!」となりふり構わぬアピールをXで始めた段階では、北朝鮮側のゴール裏チケットが3000枚売れているのに対して、日本側のゴール裏は1496枚しか売れていないと言うではありませんか。まぁ、日本側はゴール裏だけにいるわけではありませんが、それにしても倍はいかがなものかと。向こうは「おたくはココからココまで」とエリアを区切られたうえで、そこを全部買っているから3000枚なんてキッチリした数字になっているわけでしょう。枠さえあればもっと入っても不思議はないのです。これでは2戦とも「実質中立地」みたいです。

しかし、打てば響くのが日本のお客さん。「負けてます!助けてください!」のアピールを始めてみれば、そこからグングン伸びる販売枚数。最終的には日本側ゴール裏エリアの販売枚数は3600枚を超えるところまで伸び、劣勢を跳ね返しました。よーし、これなら何とか格好がつきそうです。

↓「売れた枚数」で圧を掛けられると買わざるを得ないプレッシャーがある!


↓ドデカイ緩衝地帯を挟んで南側ゴール裏に陣取る北朝鮮サポーター!赤の集団!
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↓赤の圧がすごい!ウィーアー北朝鮮!
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↓日本側も大サポーターが集って応援態勢はバッチリです!
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サポーターだけでなく、運営側も盛り上げに余念がありません。日本のソフトパワーを見せつける…なんて話ではないのでしょうが、試合開始前には国立競技場上空でドローンショーを行ない、チームと観衆を鼓舞します。ピンクとブルーのなでしこカラーに輝くドローンが東京タワーの形からエッフェル塔の形へと変化し、「全員で勝ち獲ろう」とメッセージを送るショーは、北朝鮮側からは見づらい場所に日本語を表示するという「完全ホーム」仕様のもの。チケット代はいただいているけれど、皆さまはお客さまではない。パリに行くのは私たちだ。ビシッと言ってやった感じがしましたよね!

↓せっかく屋根ナシなんだから、毎回ドローンと花火あげちゃいましょう!




ホーム感あふれる空気のなかで迎えた試合開始。日本は第1戦であまり機能しなかった布陣からガラリと変わって、大黒柱・熊谷紗希さんを中央に置いた3バックの布陣です。左サイドハーフには相手の突破への対抗策として人に強い北川ひかるさんを置き、さらに左サイド前めの位置には上野真実さんを入れる新鮮味のある顔ぶれ。「今日負けたらクビなんだろうなぁ…」という試合で、池田太監督が思い切った手を打ってきました。

立ち上がり、第1戦のように引いて睨み合いという構図ではなく、日本・北朝鮮ともに積極的に攻撃に出ます。球際の競り合いも激しく、特に北朝鮮は気持ちを出してきます。気持ちが出過ぎて荒っぽいプレーになってしまうのは「北朝鮮らしい」ところで、この最終予選にはVARは採用されていないということを知ってか知らずか、「最悪やっちまおう」みたいなプレーも繰り出してきます。前半9分にはプレー後の選手をスパイクの裏で蹴る「VARならレッド」という危険なタックルを見せ、場内も騒然としました。

しかし、相手が積極的であるのは日本にとって悪い話ではありません。攻めに気持ちが向けば守りが薄くなるのは道理。日本が攻めるチャンスでもある。そして迎えた前半26分。NHKが「このあと18時59分からはサブチャンネルでお届けします」とかいう暴挙で各地の録画予約をぶっ飛ばしたわずか30秒後、ついに試合が動きます。フリーキックのチャンスから北川さんがボールをゴール前に入れると、熊谷さんが競り合ってこぼれたボールが上野さんのもとへ。上野さんが再び中央に折り返すと、田中美南さんがすらしたボールがクロスバーに当たり、その跳ね返りに詰めたのは高橋はなさん!この日の布陣でポイントとなった選手たちがつないでつないで大きな先制点が実るとは、吉兆を感じるゴールです!

↓サブチャンネル使うなら「最初から最後までサブチャンネル」でやってほしかった!


↓ゴールを決めた高橋さんに長谷川唯さんと清水梨紗さんが抱き着く!さすがに積載重量オーバーです!
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攻撃でいいプレーが出たあとには守備でもいいプレーが。前半終了間際の45分、北朝鮮はエリア内にボールを入れると、上手く中央につないで最後はヒールで枠をとらえてきました。強いシュートではないものの完全に逆を突かれた格好で、ほとんど同点に追いつくゴール…になるところでした。しかし、そこに立ちはだかったのはゴールキーパーの山下杏也加さん。リオ五輪予選敗退という苦い経験を持つ山下さんは、苦しさを乗り越えたぶんの「あと一歩」がありました。ほとんど倒れ込みそうになりながら、転がるように足を進めて、ゴールラインを今まさに割ろうとするボールに追いついたのです。

北朝鮮はすでにガッツポーズで得点を確信していますが、まだラインは割っていません。「三笘の1ミリ」よりも遥かに余裕がある状態で、山下さんは見事にそのボールを掻き出しました。リードを守る大きな大きなセーブ。最後までボールを追うことを諦めず、身を投げ出すしかないとすぐに決めつけず、「あと一歩」を踏み出したから届いた勝負の分岐点でした。前半を1-0リードで折り返し、勝負は後半戦へ!

↓よく飛び込む前の数歩が出た!これぞ守護神というビッグプレー!



ともに交代なく迎えた後半戦。攻めに出るしかない北朝鮮は日本のサイドを積極的に狙ってきますが、日本は左の北川さんと右の清水さんがしっかりと対応し、突破を許しません。日本の守備は前線から追っていき最後にサイドで詰めるという狙いが上手く機能している模様です。1点の余裕もあるので安心して見ていられます。北朝鮮は後半21分に一気に3選手を替える勝負手を繰り出し、セットプレーから日本ゴールに迫りますが、エリア内では日本も身体を張ってしっかりと守りゴールを許しません。

そして迎えた後半31分。相手のクリアミスを高い位置で拾った瞬間、右サイドの清水さんは猛然と駆け上がります。ポッカリと空いた右サイドの奥に侵入すると、競り合いに来た相手DFを切り返しの股抜きで清水さんがかわしました。エリア内には日本の2選手がフリーで待っています。清水さんが入れたクロスに詰めたのは藤野あおばさん!ワールドカップで日本人最年少ゴールを決めたなでしこの未来が、「これを決めるのはアタシだよ」精神でパリを引き寄せる追加点をもぎ取りました!

↓中央にいる清家貴子さんへのクロスだというのはみんなわかってる!でも「決めるのはアタシ」です!


↓みんなで頭ポンポンして差し上げました!
P2280229


そのわずか5分後の後半36分、「よーし、勝った!」と思った日本に北朝鮮の追撃ゴールが突きつけられたのは、パリへの課題をいただくにしてもちょっと早いなぁとは思いましたが、まぁいいでしょう。2点リードするまで1点もやらなかったことが大事です。ゴールの順番が違っていればまったく違う結果になるかもしれないのがサッカーという競技。2-0から2-1になるのは危険なスコアなんて言いますが、「2-1から負ける」のと「0-1から負ける」のとでどちらがより負けるかを考えれば2-1の危険なんて高が知れています。残り10分少々、しっかり守れば無問題。

日本は後半44分にフレッシュな選手を投入して試合を締めにかかると、保持したボールはゆったりと時間を掛けて持ち、上手く攻め上がった際にはボールキープの時間も作りながら時計を進めていきます。アジアカップを見たあとでは一瞬に感じる程度のアディショナルタイム5分を守り切って日本は勝利。見事にパリ五輪行きの切符を勝ち獲りました!

↓よーし勝った!13年ぶりに自力で五輪予選突破!なでしこの歴史をつないだ!


↓苦境を乗り越えたキャプテンは責任を果たして大きくガッツポーズ!
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↓歓喜の輪が広がりました!
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池田監督をはじめ各選手がインタビューを受けるスペースには、世界一のなでしこの一員であった岩清水梓さんもDAZN解説者として姿を見せていました。熊谷紗希さんや長谷川唯さんが重圧からようやく解放されたように岩清水さんに抱き着いているのが印象的でした。背負った人にしかわからない重さがあって、それをわかってくれる人がそこにいた、話したかった、やっと話せるようになった、そんな感じでした。

非常に苦しい予選でしたが、それが五輪予選ですし、苦しいんだからこそ強くなるというもの。怪我人が多く、ワールドカップ主力メンバーの何人かは参加が叶わなそうなのが気になるものの、その選手たちの想いも背負って、ワールドカップで一瞬見えた世界一の強さを発揮し、「パリで金」の大目標へ向かって進んでいってほしいと思います。苦しい状況から立ち上がって夢を叶える姿は、きっとたくさんの人の元気や勇気になる。それができるし、それを期待されるのが、なでしこJAPANというチームのはず。パリで大きな花を咲かせましょう!

↓楽しそうで結構です!パリ五輪出場決定おめでとう!
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↓喜びの自撮りを広報さんから要求される各選手!
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↓こんな自撮りになりました!


↓ちなみに自撮りの背後に出ているのは、能登半島地震の被災地への応援です!
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↓パリから勇気と元気が届きますように!
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寒さも吹き飛ぶ熱い試合に感謝!パリの楽しみがまたひとつ増えました!

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婦人公論 2017年 12/27、1/6 合併特大号

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